![Stailerを通じて提供するネットスーパーアプリの継続率や平均購入額](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/4/8/-/img_487f28ef849ebd2371d9ada1712367f4226146.png)
在庫精度やピックアップ効率の向上においても成果、「toB向けのPMF」に近づく
Stailerを用いることで、在庫管理の精度向上やスタッフの業務効率化といった運用上のメリットを享受できる点も同サービスが小売企業から注目を集める理由の1つだ。
実際にとあるパートナー企業との実証実験では、従来のシステムからStailerに切り替えることでネットスーパー上で扱える在庫の幅が130%ほど拡大したという。
「実はお店には1.3〜1.4万点の商品があるのに、ネットスーパーではそのうちの7000〜8000点しか掲載できていないことも珍しくないんです。その理由は在庫を推測する能力がなかったから。Stailerでは内部のシステムと繋ぎこむことで発注データやPOSデータなどを統合し、独自のアルゴリズムで在庫を推測します。その精度が上がることで、スーパーは人手をかけずにお店が持つ本来のポテンシャルを発揮できるようになります」(矢本氏)
これは商品のピックパックにおいても同様だ。既存のオペレーションとStailerを使った際の時間をストップウォッチで計測したところ、後者の方が作業時間が15%ほど削減されたほか、ミスの削減にもつながった。
従来のオペレーションは紙を用いて手作業で進めていたため、どうしてもミスが発生してしまい、それが他の作業を止めてしまう原因にもなっていた。これに対してStailerでは検品作業をスマホアプリで完結する仕組みを構築。「商品コードをスマホで読み込み、正しい商品か判定しなければ次の工程に進めない」といったように、確認や検査を機械に預けるようにしたことが、具体的な成果にも現れたかたちだ。
![すでに薬王堂との取り組みでは店員向けアプリも提供済み](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/c/6/-/img_c625130ef7e842f0fad8ae99da4a9b9e127853.png)
![店員向けのアプリを作る上では10Xのメンバーも現場に何度も出向き、細かい使い勝手を磨き込んだ。写真は代表の矢本氏で、本人曰く「(ピックパック作業が)なかなか早い」という](https://dol.ismcdn.jp/mwimgs/d/5/-/img_d54387cc8f0a9065326a07ed8a7baad9270166.jpg)
現時点で店舗向けのシステムも含めて提供しているのは薬王堂のみだが(他の3社はモバイルアプリの部分のみを導入)、既存のパートナーの中には裏側のシステムもStailerに変えようと話が進んでいるところもあるそう。またStailerは大手小売企業など約90社から引き合いがあり、これらの企業からは店舗向けのシステムについても強く興味を示されているという。
「最初は(アプリを作ることによる)顧客接点の拡大に対する期待値が大きかったのですが、信頼関係が深まるに連れてより基幹システムに近い部分を任せてもらえるようになってきました。そういった意味でもtoB向けのPMF(プロダクト・マーケット・フィット)を確信しつつあります」(矢本氏)
現在も複数社との間でアプリ提供に向けた準備や導入の検討が進んでおり、来年の前半にかけてパートナーの数が数倍に拡大する見込み。「在庫管理やピックパック、配送なども含めてサプライチェーン周りの機能をしっかりと実装したプロダクトが、十数個出ていくことになる計画」だという。