K-POP業界が日本人コレオグラファーに依頼する理由

──ReiNaさんが生まれて初めて「他人のために」振り付けを考えたのはいつですか。

たしか、中学2〜3年生あたりだったと思います。当時通っていた地元のダンスサークルで、子供たちのために振り付けを考えたのが最初でした。それまでは、ただ自分が踊ればいいプレーヤーという立場でした。ある意味、先生から教えられた通り動けばよくて。手の角度はこうすればいいんだ、とシンプルだったんですよね。

でも他人に教えるとなると、思うようにいかなくて……。自分が伝えたいもの、表現したいと思っていることがあるのに、それが上手に伝えられない。相手のせいではなく自分の教え方が悪いせいなんだ、と不甲斐なくてモヤモヤしました。その反面、自分が考えたダンスの振りを誰かが踊ってくれる喜びもあり、そのときにダンサーとは違う、コレオグラファーとしてのやりがい、面白さを見つけることができたと思います。

──ReiNaさんの師匠でもあるRIEHATAさん(BTSやEXO、TWICEなど曲の振り付けを担当)や仲宗根 梨乃さん(SHINeeや少女時代、東方神起などの曲の振り付けを担当)も人気K-POPアイドルグループのコレオグラファーとして活躍されています。日本人の振り付けがK-POPから支持される理由はどこにあると思いますか。

日本人だから、というよりもその人たちのダンスや振り付けが(個性的で)光っていたから、というのが大前提としてあると思います。私も含め、スタイルはそれぞれ違いますよね。たまたま、採用されたのが日本人だっただけ。

その一方で、確かに日本という土壌で育ったダンサーならではの強みや色はあるかもしれません。海外から見た日本はアニメなどを筆頭に、どこか“好奇”で独特なブランドがある部分は否めません。海外のスタイルやトレンドを取り入れていきつつ(日本っぽさが残る)自分のスタイルは貫きたいですね。それはK-POPにも同じことが言えると思っています。

世界的人気のK-POPを“裏”で支える日本人──20歳の振付師「ReiNa」の素顔
 

K-POPもまた、K-POPだからこそ出せる魅力があると感じています。BTSがアメリカのビルボードで1位になったのは、同じアジア人として嬉しかったです。

私たち日本人が洋楽やK-POPを聴くように、音楽には境界線がありません。音楽はお互いの文化を尊重し合い、それを繋ぐ架け橋なんだと思います。BTS以外にもどんどんK-POPアーティストが海外進出していますが、「韓国らしさ」は失わないでほしいな、と思いながら見ています。もちろん、アメリカの音楽はダンスやMVの作り方ひとつ取っても先進的だと思いますし、インスピレーションを与えてくれます。