郵便物の回収方法は「オフィスの郵便ポストなどに届いたものをateneに回収してもらう」か、バーチャルオフィスなどと同じ要領で「atenaの住所を自社の住所として登録する」かの2パターン。郵便物は外見の写真とともに管理画面に登録され、メールやSlackなどのチャットツールに通知が届く。

あとは各郵便物ごとに「転送」「破棄」「スキャン」の中から適した処理方法を選ぶだけ。実物を手元で管理したい場合には転送してもらうこともできるし、デジタルデータとして管理しておきたければスキャンを依頼すればいい。

スキャンされた書類のイメージ
atenaにスキャンされた書類のイメージ

他サービスとの連携にも取り組んでおり、「sweeep」や「LayerX インボイス」との協業によって“アナログな請求書の受け取りから処理作業まで”をオンライン上で完結する仕組みも構築している。

atenaの利用料金は月額1万1000円から。受け取る郵便物の量による従量課金制となっている。

“郵便のための出社”不要に、総務のリモート化も推進

白髭氏の話によると、顧客のニーズは主に「郵便物の処理に関わる業務の効率化」と「リモートワークの推進」の2つだ。

前者に関しては特に“郵便物のための出社”が課題になっている企業が多いという。会社の方針で出社を減らさなければならない一方で、郵便物の処理には人手がかかる。結果として担当者の業務量が積み上がるという現状がある中で、atenaを活用すれば業務量の削減につながるほか、出社せずとも自宅から同じような作業ができるようにもなる。

上述したZOZOはまさにこの代表例だ。毎月同社では月末月初に届く数百通もの紙の請求書を、経理部のメンバーが2〜3日かけて処理をしていた。atena導入後は仕分、開封、スキャニング、会計システムへの取り込み、ファイリング、書庫保管といった一連の業務がなくなったため、作業時間は1時間以下に減ったという。

またコロナ禍においてはフルリモートワークやオフィス出社とリモートを組み合わせたハイブリッド出社を導入する企業が増え、フリーアドレス型への移行なども含めて新しい働き方が広がりつつある。それを後押しする目的でatenaが選ばれることも増えてきた。

「(担当者は)郵便物の置き場がなくなる中で新しいメール室の在り方を考えていく必要に迫られているほか、ハイブリッドとはいっても郵便物を受け取るために出社しなければならないという声を聞くこともあります。クラウドサインなどの電子契約サービスによってハンコを押すための出社はいらなくなったものの、まだ郵便は残っているという企業も多い。その最後の砦を崩していくような役割を期待されることも増えてきました」(白髭氏)