大学生の2割がすでに「ロコモ」!?骨格筋が衰え、将来の健康寿命に黄信号Photo:123RF

 筋骨格の衰えから、移動や生活動作に支障が出やすい状態を指すロコモティブシンドローム(運動器症候群)、通称「ロコモ」は、高齢者に特有の症状、であるはずだった。

 しかし、国際医療福祉大学理学療法学科、同医学部老年病学講座の研究によると、大学生の2割がすでにロコモで、将来の健康寿命に黄信号が点っている。

 研究者は、同大の学生413人(平均年齢19.1歳、男性192人)を対象に、2023年4~7月に日本整形外科学会のロコモ推奨基準に沿って、片足立ちテストや「ロコモ度テスト(ロコモ25)」、体組成分析、筋骨格評価などを実施。また、栄養状態や食習慣についても調査している。

 これらのデータを総合して、ロコモ初期の「ロコモ度1」、進行期の「同2」、社会生活に支障が出ている「同3」にそれぞれ該当するか否かを解析したところ、413人中の86人がロコモと判定。10代~20代初めにして2割の学生がロコモに該当していたのである。

 しかも86人中3人は、腰の痛みなどから移動機能が低下し、自立した生活ができなくなるリスクがある「同2」と判定された。

 性別では、ロコモ86人中31人が男性であるのに対し、女性は55人と有意に有病率が高かった。

 性別のリスクを見ると、男性は「5秒間の片足立ち」ができないこと、女性では腰痛などの「運動器の痛み」および「高い体脂肪率」が、ロコモリスクと有意に関連していたのである。

 研究者は、若者のロコモ予防策として「男性はバランス能力を高めること、女性は体幹を鍛えることが効果的」としている。

 高齢者のロコモが関節の疾患や生活習慣の悪化に起因するのに対し、若年者のそれは栄養不良に起因することが多い。本研究でも、朝食抜きの食習慣や、筋骨格の維持に必要なタンパク質が不足している実態が明らかになった。

 将来の健康寿命を守るには、まずバランスの良い食事が大切だ。また、ロコモ予防のトレーニングにはスクワットやフロントランジがおすすめ。体幹を鍛えるなら「お尻歩き」が楽しい。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)