「Microsoft Video Authenticator」のイメージ
「Microsoft Video Authenticator」のイメージ Microsoftのプレスリリースより

多くのスタートアップも、ディープフェイクを検出する技術に取り組んでいます。例えば、Deepwareはウェブ、アプリ、APIで簡単に使えるディープフェイク検出ツールを公開しています。

また、Facebook、Microsoft、Amazonなどは2019年、Deepfake Detection Challengeというディープフェイク検出技術のコンテストを行い、2114チームが参加しました。

しかしながら結果はトップチームが識別できた精度は65%で、ディープフェイク検出技術の難しさも浮き彫りになりました。

ですが、ディープフェイクを作る段階で、コンテンツに何かしらの情報を埋め込めれば、容易に検出が可能となります。EmbodyMeでは、電子透かしと呼ばれる技術を開発していて、人の目に見えず機械のみが検知できる情報を、我々のプロダクトで作成されたすべての動画に埋め込もうとしています。

人の目に見えないだけでなく、消すのが困難で、カメラで撮影するなどアナログな手段でコピーしても残るので、悪用を抑止することができます。

──今後ディープフェイクはどのように活用されていくと思いますか。

ディープフェイクは、とても幅広い分野での活用が期待されていますが、その中でも将来的に世の中を大きく変える可能性がある分野は「映像制作」と「バーチャルヒューマン」だと考えています。

東京2020パラリンピックの閉会式にも登場したバーチャルヒューマンのimma Pinkoiのプレスリリースより
東京2020パラリンピックの閉会式にも登場したバーチャルヒューマンのimma Pinkoiのプレスリリースより

映像制作にディープフェイクを活用することで、将来的には、撮影をしなくても、誰もが家にいながらハイクオリティな映画やテレビ番組が作れるようになります。

編集ソフト上でタレントや役者を選ぶだけで、自由自在にセリフを喋らせたり、どんな動きもさせることができるので、映画監督やテレビ番組制作者が思い描いた通りの世界観をとても簡単に実現できます。

例えば、もう亡くなった俳優と、現実には存在しない「バーチャルヒューマン」、現実に生きているタレントが共演するようなテレビ番組も可能となります。

バーチャルヒューマンはディープフェイクと組み合わせることで、世の中を大きく変える可能性を秘めています。VTuberは現状、2次元のキャラクターがほとんどですが、ディープフェイクと組み合わせることで実在する人間も活用できるようになります。

実在するタレントを、ある意味キャラクターのようなIPと同じように扱い、永遠に若いままの姿で、死後も活用することが、技術的には可能となります。タレント自身の能力に関わらず、さまざまな言語をしゃべらせることもできるようになります。