契約の自動化イメージ
 

このように、さまざまな商取引について、適切に条件を設定・確認し、これらの充足をトリガーに、対価の支払いが実現される仕組みを実現することで、多くのビジネスを、抜け漏れなくスピーディに遂行することが可能となるだろう。 

養育費未払いなどの社会問題も防ぐ(CtoC領域)

次に、契約の自動化によって私たちの生活がどのように変わるか、見ていこう。契約の自動化は、ビジネスシーンのみならず、私たちの生活においても、さまざまな問題を解決する可能性をもっている。

例えば、社会問題にもなっている子どもの養育費未払い問題。この問題は「養育費請求権」が適切に実現されないことにより発生しており、子どもの養育や生活にネガティブな影響を及ぼしている。離婚などに際して、子どもの養育費の支払いに関する契約書を適切に締結し、支払い条件と支払い方法を設定しておくことができれば、権利実現の自動化が可能となり、こうした問題を未然に防ぐことができる。また、仮に支払いが滞ったとしても、差押などの強制執行がしやすくなる。

こうした取り決めを個人間で容易にできるようにするためにも、適切な契約書締結および、支払い条件と支払い方法の設定を安価かつスムーズに行える仕組みづくりが求められる。

個人間の取引は、フリマアプリなどの登場により、一気に普及した。個人間の売買契約については、テクノロジーの力で自動化が一定の範囲で進んだといえる。契約の自動化を活用したシステムが普及すれば、売買契約以外の個人間契約も、今よりスムーズに実現されるようになるだろう。

電化製品の保証や事故・病気の際の保険金支払いもスムーズに(BtoC領域)

さらに、企業が提供するサービスを個人が受ける際にも、「権利が実現されづらいケース」がある。例えば、電化製品の品質保証や修理交換などの権利実現や、保険のような“何かあったとき”に請求できるようになる権利の実現はどうか。こうした契約後に発生した事象に基づいて行使できる権利について、実現できなかった経験のある人もいるのではないだろうか。

電化製品などの複数年保証は、期間内に故障したときに「修理請求権」が発生するが、そもそも権利があることを忘れていることもある。契約の自動化を活用し、オンラインで製品番号を入力し、故障のタイミングと状態を入力すれば、自動的に修理手続きに繋がるような仕組みを構築できれば、今よりもスムーズに複数年保証が実現されるだろう。

また、この仕組みを活用すれば、事故や病気になったら自動で保険金が支払われる保険サービスなども可能となる。支払い要件を予めプログラミングしておくことで、要件充足が確認されれば、自動的に支払いを実行する保険サービスが可能となり、今よりもスムーズかつ早く、保険金の支払いがなされるようになるだろう。