・全世界を相手に販売できる
・パッケージ(物理メディア)が不要なので、売価に対する利益率が高い
・在庫リスクがない
・「最低ロット」という概念がなく在庫切れがない
・全購入者はネット環境がある前提なので、アップデートの配布が容易
・WindowsとMac、Linuxという、ほぼ全てのPC向けに配信できる
・販売価格を即時にコントロールできるため、売上が落ちてきたら半額~90%オフセールなどを実施して、需要が低下したソフトの売り伸ばしができる(これまでコンソール機では一定期間経過後に廉価版パッケージを発売してきた)

日本国内においてはニンテンドースイッチやPlayStation 4/5のようなコンソール機向けゲームソフトの方がメジャーであり、Windowsパソコンなどを使って遊んでいるゲーマーは少数派というのが大多数の肌感覚だろう。ところが世界に目を向けてみると、高性能パソコンでゲームをたしなむゲーマーが増加傾向にある。近年プレイ人口が急増しているeスポーツジャンルにおいても『League of Legends(LoL)』『Fortnite』『Call of Duty(CoD)』『PlayerUnknown's Battlegrounds(PUBG)』といったタイトルで「勝つために」相手よりも少しでも優れた性能のマシンを使いたいというニーズにより、世界中でゲーミングPCの需要が増えているほどだ。

今やSteamはニンテンドースイッチやPlayStation 4/5などを超えるような規模のユーザー層を抱えるプラットフォームの1つとして成長している。

Steamの2020年の実績 Steamサイト「2020年を振り返って」より

国内市場向けだけのゲームソフトビジネスはとっくに終わっている

ゲーム機やパソコン性能の向上に伴い、ゲームソフトもグラフィックなどを中心に進化を遂げている。

映像の解像度が高くなるほどグラフィックを描き込む手間が増え、人件費は高くなり、収益性はどんどん悪くなっていく。それこそ4K解像度に対応したPlayStation 5専用ソフトを作ろうとしたら、膨大な開発費を要してしまう。その一方で家庭用ゲーム機ソフトの世界では最近、メガヒット級のタイトルが出づらくなっているため、ソフトの開発費を回収しづらくなっているのだ。

ゲームソフトの国内販売数ランキングを見ると、上位は任天堂(およびポケモン)が独占している。前述の2メーカーを外したトップ10のタイトルを、公表されている数値で並べてみたものが以下の表だ。