トップ10のうち半分が『ドラゴンクエスト(ドラクエ)』シリーズ。次いで『モンスターハンター(モンハン)』シリーズが3作。そして『ファイナルファンタジー(FF)』シリーズが2作という内訳だ。また注目すべきなのは、一番新しいタイトルでも2013年であるということ。実は2013年以降、日本国内の販売本数でトリプルミリオンのソフトは出ていない(冒頭で触れたモンスターハンターライズもグローバルでの販売本数だ)。つまり国内市場だけに向けてゲームソフトを作ってビジネスとして成立する時代は、とっくに終わっていたのである。

国内でソフトが売れず、人件費は高騰──メーカーの次の施策は

国内でのソフト売り上げが下がっているのに、ソフトに求められるクオリティが高くなるばかりの現在。そこで日本国内向けにソフトを売っていたメーカーは、世界に目を向けることにした。

記事冒頭で発表があったカプコンの動きに注目してみると、家庭用ゲーム機向けに発売していたソフトをSteam(PC)で発売することは以前から行っていたが、『バイオハザード7』で初めてPS4版とXbox One版、そしてSteam版を2017年1月に同時発売した。

一般的なニュースなどで報じられるゲームソフトの売上本数は調査会社のメディアクリエイトなどが、小売店で売れたパッケージ版ソフト(DLカード販売含む)の数をカウントしたもの。PS4版『バイオハザード7』の結果を確認してみると、34万本だった。

しかし2021年10月8日にカプコンが発表したPS4とXB1のパッケージ版と、それぞれのダウンロード版、そしてSteamのダウンロード版を合計した全世界の販売数の(パッケージ版は出荷数)合計は1000万本に達した。日本国内よりも世界で売れることを意識したコンテンツ作り、そしてPS4など特定のプラットフォームに限定せず、Steamを含めたマルチプラットフォーム展開を行ったことで、収益性を大きく改善させたのである。

カプコンはその後も、2018年1月に発売した『モンスターハンター:ワールド』では、PS4とXB1(XB1版は日本未発売)版の発売から約半年後の8月にSteam版を発売。2021年3月に発売したニンテンドースイッチ版『モンスターハンターライズ』は、10カ月後の2022年1月にSteam版を発売すると発表した。

AAAタイトルも複数ハードで同時発売が当たり前に

先ほど、「PS4とXB1、Steamで同時発売」と書いたが、古くからのゲームファンであればここに違和感を覚えた人もいるのではないだろうか。