PC版ソフトに潜む「改造リスク」

PC版はスペックに応じて4K以上の解像度やフレームレート(動きの滑らかさ)を変更できるため、PS5などの家庭用ゲーム機で出ているゲームソフトよりも美麗な画面で楽しめるのが特徴だ。しかし、その対価としてパーツ交換の出費は伴う。結果として、そこまでお金は払えない──というミドルクラスのゲーマーは、リーズナブルな家庭用ゲーム機を選ぶことになるだろう。

しかしPC版ソフトにもリスクはある。一番は改造リスクだ。

例えば対戦型ゲームの場合、自分の性能を強化するソフトを仕込む抜け道がないわけではない。一般的に「チート」と呼ばれる行為だが、家庭用ゲーム機に比べて圧倒的にチートを行うユーザーが多くなる。

改造といえば、MOD(Modification)と呼ばれる、お手軽な改造手段があり、これをメーカー側が回避するのはかなり難しい。とはいえ、主なものはキャラクターのグラフィックを書き換えるようなものなので、メーカーも「見て見ぬ振り」をしているところが多い。MODを使うかどうかはエンドユーザーに委ねられているため、「使いたい人だけ使えばいい」という風潮となっている。

2021年9月24日にセガが発売した、『LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶』は主人公キャラにタレントの木村拓哉さんをキャスティングしたことでも話題になった。このソフトはPC版を発売していない。あくまで筆者の想像だが、PC版でMODが流行した結果、所属するジャニーズ事務所ですら想定していないようなプレイ動画が公開されることを嫌がったのではないかとも思うことがあった。

「ソフト+サブスク」に進む家庭用ゲーム機

ここまではPCでのゲームビジネスについて触れてきた。では家庭用ゲーム機はこのPCゲームに淘汰されていくのだろうか。

ソニーグループが4月に発表した2021年3月期の決算発表によると、ゲーム&ネットワークサービス分野の売上高は2兆6563億円(前期比34%増)、営業利益は3421億円(同43%増)。好調な業績の背景には、ソフトウェア販売の増収と並んで「PlayStation Plusを中心としたネットワークサービスの増収が上回った結果」という説明があるほどに、ゲーム事業においてPS Plusというサブスクリプションサービスが大きな収益の柱になっていることがわかる。

おそらくSIE(ゲーム部門であるソニー・インタラクティブエンタテインメント)の狙いはこの収益を拡大することだろうから、引き続き「ソフトウェア+サブスクリプション」を軸にしたビジネスモデルを継続したいはずだ。どうやってPlayStation 6へと繋いでいくのか。それとも別の方法を採るのか。今後の方針に注目したい。