キャラクター制作のクオンと経営統合し「ウェブトゥーン」など展開へ

冒頭でも触れたとおり、wwwaapは2021年10月、スタートアップ・クオンとの経営統合を発表した。クオンは2011年の設立で、「うさぎゅーん」や「ベタックマ」といった、自社キャラクターを軸に事業を展開する。LINEだけでなく、Facebookのメッセンジャーや韓国のカカオトークといったプラットフォームにも自社キャラクターのスタンプを提供するなど、日本のスタートアップとしては珍しく、海外プラットフォームでの展開を実現している。

クオンが制作するキャラクターの「うさぎゅーん」
クオンが制作するキャラクターの「うさぎゅーん」

クオンが制作するキャラクターの「ベタックマ」

クオンが制作するキャラクターの「ベタックマ」

統合後の新会社の名称は「Minto(ミント)」。2022年1月にも設立する予定だ。クオン代表取締役の水野和寛氏が新会社の代表取締役に就任し、中川氏はwwwaap共同代表の高橋伸幸氏と共に取締役を務めることとなる。

Mintoではアジアでも事業を展開するクオンのネットワークを生かし、アニメや漫画といった和製IPの世界的な拡大を目指す。冒頭でも述べたが、彼らの視野にはウェブトゥーンの制作や、NFT領域でのビジネス展開がある。

「wwwaapでは『作りたい人の未来を作る』というミッションをもとに、クリエーターが生きていけるための世界の実現を目指してきました。その目標を達成するための1つの手段が広告でのマネタイズでした」

「今後は広告を海外でも展開することでより多くの収益を上げられると思っています。ウェブトゥーンもグローバルに展開するための手段です。また、クリエーターにテクノロジーという武器も与えたいとも考えています。そのため、NFTを活用したクリエーターのためのプラットフォームも作っていきます」(中川氏)

「ウェブ漫画の現在地」特集で紹介してきたスタートアップや出版社、そして本記事で紹介したMintoはいずれも『国産IPでの世界展開』を目指している。

『ONE PIECE』や『NARUTO -ナルト-』など、これまでも日本の漫画やアニメといったコンテンツは世界でも愛されてきた。だが最近では、ウェブトゥーンが原作の『梨泰院クラス』や、『イカゲーム』といった韓国産コンテンツがドラマ化されるなど、勢いづいている。

日本のプレーヤーたちも、今後国産IPで海外に挑む上では、新たなアプローチへの挑戦が重要だ。ウェブトゥーンやSNS漫画など、漫画の表現の幅は広がってきた。今後、世界的なヒットを記録する日本作品は、どのようなフォーマットで展開されていくのだろうか。