連携の枠組みは相互送客のほか、提携先が既存商品と組み込あわせた“付帯サービス”としてファミトラのサービスを一緒に提供する、ファミトラが黒子になって家族信託サービスをOEM提供するといったパターンが多い。中には合弁会社の立ち上げの話もあるなど、アライアンスを軸に事業の領域を拡大していく計画だ。

このように事業が拡大する中で、今回の資金調達を経てファミトラでは「プロダクトカンパニーへの脱皮」を目指していくという。

「現時点では、まだ既存の家族信託コンサルの一部しか効率化できていないという感覚です。(今回の調達も含めて)知見や資金など業界を抜本的に変えていくための地盤がようやく整ってきました。最終的に目指しているのは『1クリックで最適な契約書ができる』ような世界観です。契約書の作成自体は弁護士に依頼する必要があるものの、セルフサーブ型の家族信託サービスとして、自分で必要な情報を入力していけば最適な条件がほぼほぼ完成するという体験を実現したいと考えています」(三橋氏)

家族信託自体のニーズに加えて、巨大な“休眠資産”とも言える信託財産にアプローチできれば、将来的にはそこから派生したビジネスへの拡張も見込める。今回の投資家からはそのポテンシャルも含めて評価され、資金調達につながったという。

直近では「スマート家族信託」を提供するトリニティ・テクノロジーが6.1億円を調達するなど、関連するプレーヤーも増え始めている。三橋氏も「急速に市場が広がってきていると感じている」と話していたが、家族信託のアップデートを筆頭に認知症にまつわる課題解決に取り組むAgeTech企業は今後さらに盛り上がっていきそうだ。