勤勉に仕事をしてきた人は、引退後も充実した日々を過ごせる

 ここで問われるのが自発性に加えて勤勉性である。現役時に仕事に没頭し、懸命に働いた人ほど引退後の生活の充実度や健康度が高いことを示すデータもあるが、現役時に勤勉性を発揮して仕事と向き合ってきた人は、引退後も趣味や学びに勤勉に取り組むことで充実した日々を過ごすことができる。

 若い頃にできなかったこと、生活の糧を得るため、家族を養うために安定収入にこだわらざるを得なかったために諦めたことを、思い切ってやれる立場になったのだから、喜ばしいことでもあるのだ。

 定年退職後も、以前とは違った形で仕事を続ける人も少なくない。その場合も、年金や貯金である程度生活の保証があったり、子どもが独立し家族を養う役割からも解放されたりしていれば、安定収入や高収入にこだわる必要がない。リスクを取ることもできるし、お金のために我慢することなくやりたい仕事をすることもできる。

 これまでとは違う立場で、趣味や学びにしろ、仕事にしろ、自分の役割をどのように設定し、どのように取り組むか。それによって職業生活の喪失をうまく乗り越えていけるかどうかが決まってくるのである。