2つ目の理由は、従来の恋愛のように相手にのめり込んでいないため、冷静にかつ冷めた目で相手のことを観察、判断しているということです。

 マッチング・アプリや婚活パーティーを通じて出会った男性とは、恋愛関係に発展するかも、という前提の中で関わっています。そのため熱量が従来に比べ少なく、冷静な気持ちで相手を見つめているといえます。

 私自身、普段だったら相手の衣服のセンスはあまり気にならないのに、マッチング・アプリや婚活パーティーから発展した人にはおしゃれであることを求めたり、デートの段取りの悪さにイライラしたり、婚活中は相手に求めるハードルも上がっていたと感じます。

 婚活体験を踏まえると、婚活市場には、マッチング・アプリや婚活パーティーというサービスを上手く使って恋人を作り結婚に到達できる女性とできない女性を生み出す特性があると考察できます。

 まず、マッチング・アプリでも婚活パーティーでも、「出会い」の機会が女性に高頻度で与えられることで、女性は簡単にかつ今までにないレベルでのモテ体験ができます。

 その結果、自分は男性を選ぶことができる立場であると思い込み、どうしても高飛車になってしまいます。顔の優劣で男性を選り好みする、デートの際に男性へ求めるハードルが上がるなど、男性を「上から目線」でジャッジするようになってしまうのです。

 一方男性側は、示し合わせたかのようにSNSで見るような、パターン化された行動で女性にアプローチしてくる方が大多数でした。そのため女性からしてみれば、男性が何を考えているか、自分の何を見て好意を寄せてくれているのかわからないという状況に陥ります。

 この「急激なモテ体験による上から目線」と「真意がわからない(下心は見える)男性のパターン化された行動」が組み合わさることで、「マッチング・アプリや婚活パーティーにはろくな男がいない」という、SNS上でも頻繁に見られる女性側の意見を生み出していると考えられます。

「ろくな男がいない」婚活市場で
パートナーに出会える女もいる

 他方で、「ろくな男がいない」と愚痴りつつも、実際にマッチング・アプリや婚活パーティーを利用して理想の男性を探し出し、結婚にたどり着いた女性もいらっしゃいます。

 つまり、婚活市場には、「これは駄目だ」と判断してサービスから撤退する女性と、婚活市場の特性に適応してパートナーを見つけられる女性と、上から目線が悪化してこじらせていく女性がいると考えられます。