まず、過去の経験から男性との関係構築に自信がある恋愛強者の女性が強くこじらせてしまうと、婚活市場の仕組みから「選べる」ことを重視し、経済的・社会的・職業的にも完璧なイケメンを求めてひたすら理想の旦那様を探し求める、「完璧な結婚の追求派」となってしまいます。

 もちろん、婚活市場の中で、そうそう「完璧な旦那様」になりうる「経済的・社会的・職業的にもハイスペックなイケメン」と出会えるわけではありません。

 しかし、彼女たちは恋愛強者として自信があるからこそ、「出会えたら、絶対にゲットできる」と考え、マッチング・アプリや婚活パーティーの沼にズブズブとハマり続けていくと考えられます。

 それに対して、恋愛弱者の女性が、婚活の仕組みがもたらす「モテ体験」の中で多くの(時には初めて出会うようなハイスペックの)男性と出会ううちに強くこじらせていくと、大変なことになりかねません。

 急激なモテ体験の中で「もっと良い人がいるのではないか?」と選り好みしているうちに、「結婚したい理由」を見失ってしまい、ひたすら高飛車に「この人はここがダメ」とダメ出しを繰り返し続けてしまいます。このような女性は「婚活迷子派」といえるかもしれません。

「婚活迷子派」の方は、改めて結婚相手に求める条件を確定していけば、「就活としての婚活派」に移行することができるかもしれません。

「完璧な結婚の追求派」も、自身が恋愛結婚を重視したら「恋愛重視派」として納得のいく旦那様を日常生活の出会いから再発見できるかもしれませんし、「理想の旦那様」を漠然としたイメージではなく、婚活市場の中で出会えた人の平均値から具体的な目標として設定し直していけば、「就活としての婚活派」に近似している玉の輿ルートに乗れるかもしれません。

婚活との付き合いかた:婚活市場でこじらせないための行為戦略婚活との付き合いかた:婚活市場でこじらせないための行為戦略』(中央経済グループパブリッシング)
高橋勅徳・オオノリサ 共著

 Web上では婚活女性に対して、婚活男性の現実的な収入や容姿を引き合いに出しつつ、「身の丈に合わせて現実的な相手を選べ」と説教をされる婚活カウンセラーの方が頻繁に見受けられます。

 しかし、「身の丈の合わせ方」については、女性のこじらせの程度と恋愛経験の程度によって、それぞれ変わってくると考えられます。

 女性の類型ごとの違いに気づかず、下手なアドバイスをしてしまうと、「恋愛重視派」が「完璧な結婚の追求派」に、「就活としての結婚派」が「婚活迷子派」に転じてしまうと考えられます。

 そして、婚活市場で提供されているサービスと男性との出会いの多さが、女性を「こじらせる」力学を有していることに、婚活サービスの運営側も私たち女性自身も自覚的になることが、婚活を上手く進めていく第一歩になるのではないでしょうか。