2024年11月に控える米国大統領選で、民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領の一騎打ちが実現する公算が高まっている。だが、両者の一騎打ちが実現した場合、3つの逆風によって、現時点でバイデン大統領の再選に黄色信号が灯る事態となっている。特集『総予測2024』の本稿では、米国大統領選をめぐる情勢について東京大学の佐橋亮氏に解説してもらった。(東京大学東洋文化研究所准教授 佐橋 亮)
バイデンに吹き荒れる三つの逆風
トランプ再登板の現実味
対中関係やロシア・ウクライナ戦争、中東情勢の緊迫化――。米国を取り巻く難題は数多いが、それらの趨勢のいずれもが2024年11月に控える米国大統領選挙の結果に左右される。それほど、24年の米国や世界にとって大統領選は重要なファクターとなっている。
現時点で、大統領選の候補者として民主党はバイデン大統領の選出が確実視されており、共和党側はトランプ前大統領の選出が濃厚だ。このままいけば、前回に引き続き再び両者の一騎打ちとなる公算が大きい。
共和党のトランプ氏以外の有力候補には、支持率2位のロン・デサンティス・フロリダ州知事と、それに続くニッキー・ヘイリー元国連大使の名前が挙がっている。しかし、デサンティス氏は企業への高圧的な姿勢などから失速した印象は否定できず、ヘイリー氏は共和党内の大統領候補者討論会などで急速に評価を上げ、大口献金者の支持も得たが、現実的には候補者に選出されるとは考えづらい。
それぞれ45歳、51歳と若い両者にとっては28年の「次の次」の大統領選を見据えた“顔見世”としては十分に成果を上げたとも評価できるが、今回トランプ氏に競り勝つのは厳しいだろう。
バイデン対トランプの構図になった場合、バイデン大統領にとっては以下の三つの観点で逆風が吹いており、再選に黄色信号がともる厳しい状況にある。
次ページでは、バイデン大統領とトランプ前大統領の一騎打ちの可能性が高まる中で、バイデン大統領が不利な状況にあるといえる3つの逆風について解説する。また、トランプ氏の返り咲きが実現した場合、どのようなシナリオが待ち受けているのか。併せて解説する。