2023年の日本シリーズでは、阪神タイガースがオリックス・バファローズと第7戦までもつれる大熱戦を制し、38年ぶりの日本一に輝いた。では、阪神の連覇はあるのか、オリックスはパ・リーグ4連覇の先に日本一を奪還できるのか――。特集『総予測2024』の本稿では、熱戦必至のプロ野球の来季ペナントについて大展望した。(ベースボール・ジャーナリスト 横尾弘一)
「関西2強」の見通しは明るいものの
鍵を握るのはセ・パの東西2球団か
阪神タイガースが2023年、18年ぶりにリーグ優勝し、59年ぶりの関西対決となったオリックス・バファローズとの日本シリーズは第7戦までもつれる大熱戦。優勝パレードも盛況で、気の早いファンは来季の展望を話題にしている。では、阪神の連覇はあるのか、オリックスはパ・リーグ4連覇の先に日本一を奪還できるのか。
日本一となった阪神の岡田彰布監督は、現有戦力をさらにレベルアップさせて連覇に挑む。秋季キャンプでは、渡辺諒に自ら三塁守備を指導。パワーが魅力の外野手・小野寺暖には、手首の使い方を助言する。彼らのような成長株が、レギュラーを脅かすことが連覇の確率を高めるだろう。高校卒ルーキー左腕・門別啓人の進化には、「隠さなあかん」と語るなど、大きな手応えを感じているようだ。
一方、絶対的エースの山本由伸、2桁勝利を挙げた山﨑福也(やまさき・さちや)と二枚看板の先発が抜けるオリックスは、攻守両面で補強を進めている。
ただ、投手陣が不安なのに、ドラフトでは他球団が競合した大学生投手を一人も指名しなかった。
「24歳の東晃平が育成から支配下登録され、今季までに7連勝とめどが立った。他にも成長途上の若い投手がいますから、あえて大学生投手にはいきませんでした」
編成部の牧田勝吾副部長がそう語るように、現在はフロントと現場の風通しが良く、育成面でも方針が共有されている。ドラフトでは、将来性を見込んだ高校生と即戦力の社会人に絞って指名。さらに、広島東洋カープからフリーエージェント宣言した外野手の西川龍馬、北海道日本ハムファイターズとのトレードで投手の吉田輝星を獲得。今後の補強も注目される。
このように「関西2強」の見通しは明るいのだが、セ・パ両リーグの来季ペナントの鍵を握るのは、各リーグ別の球団だと考えている。
次ページでは、野球ジャーナリストとして名高い、横尾弘一氏がプロ野球の来季ペナントの行方について、さらに深掘りしながら大展望。「関西2強」以外にも新シーズンの鍵を握りそうな、セ・パの東西2球団の実名とその理由を解説する。