来るぞ370兆円市場 ビッグバン!宇宙ビジネス#3写真提供:インターステラテクロノジズ

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が20年ぶりに立て続けに2回打ち上げを失敗するなど、苦戦が続く日本のロケット産業。一方、小型で安価なロケットを開発する堀江貴文氏創業のインターステラテクノロジズや、実に40年越しに幻の技術を復活させて、有人ロケット開発を進めるSPACE WALKERなど、ユニークなスタートアップも続々登場している。特集『来るぞ370兆円市場 ビッグバン!宇宙ビジネス』(全13回)の#3では、不安と期待が相半ばする日本のロケット産業を詳しく見ていこう。日の丸ロケットは「どこまで飛べる」のか?(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

18年ぶりに打ち上げゼロに
危機的状態にある日本のロケット

 宇宙といえば真っ先に頭に思い浮かぶのが、ロケット。日本はロケットを宇宙に飛ばせる世界11カ国の一つで、50年の開発の歴史を持つロケット大国の一員だ。

 だが、これを「かつては大国の一員だった」と言い換えざるを得ない事態が起きている。2022年はロケット打ち上げ成功が18年ぶりにゼロとなったのだ。

 22年、23年はH3、イプシロンという日本の基幹ロケットの両方が、相次ぎ打ち上げに失敗した(本特集#4で詳しく紹介)という不運があった。しかし、それ以前に、打ち上げ数があまりに少な過ぎるのだ。

 05~21年で宇宙航空研究開発機構(JAXA)が関わるロケット打ち上げは55回と、年に2~6回のペース。急速に打ち上げ頻度を上げる米国、中国、ロシアの3強に比べると差は歴然だし、インドなどのロケット後発国にも抜かれる年があるほどだ。「国がロケットを開発する」という枠組みでは、これ以上増やすことは不可能だという。

 日本のロケットが弱くなると、広い分野に悪影響が出る。人工衛星では強いポジショニングを持つ日本(本特集#2参照)だが、人工衛星を海外から打ち上げると輸送費や関税がかかり、せっかく衛星を安く造ってもコストが上乗せされる。

 さらに、現在はウクライナ戦争のためロシアのロケットを利用できなくなり、世界中の企業が米国に一極集中している。オーダーしてから人工衛星を飛ばせるまでに2年かかるのもザラで、事業破綻する企業も実際に出てきている。

 もちろん、国防や経済安全保障の面でも、自国で自由にロケットを飛ばせないのは危機でしかない。

 このまま日本はロケット開発のトップ集団から消えてしまうのか?希望を捨てるのはまだ早い。

 というのも、日本には有力なロケットスタートアップが多数あるからだ。

 すでに「世界唯一」「アジア初」の技術を持っている企業が多い。例えば、JAXA前身団体での開発実績と独自開発技術をてこに、有人飛行という新分野に参入をもくろむ企業もある。世界のどこへでも1時間で到達できる旅行も夢ではなくなりそうだ。

 そうしたスタートアップの将来性の高さは、大手企業の動きが証明している。例えば、丸紅などががっつり出資を行い、100億円単位で資金調達をしている企業もある。他にも大手航空会社や旅行会社が出資するスタートアップが雌伏する。

 一方で、米国やその他の国に比べて、日本が決定的に劣る、構造的な問題も見えてきた。

 日の丸ロケットは再び「飛べる」のか?次ページから、じっくり見ていこう。