三菱自「中国撤退」が日産・ルノー依存からの脱却につながる理由三菱自動車工業は中国からの撤退し、主力のアセアン・オセアニア地域に投資を集中する考えだ。写真は三菱自の加藤隆雄社長 Photo: JIJI

三菱自動車の業績が回復
中国事業はいち早く撤退を決断

 三菱自動車工業(三菱自)が中国からの「撤退」による「選択と集中」経営を明確にして、いよいよ成長フェーズに向かう。

 三菱自は、10月に2023年度上期決算と通期業績見通しとともに、その直前には中国における三菱ブランド車両の現地生産の終了と仏ルノーのEV新会社「アンペア」への出資決定を発表した。

 これは、3月に発表した中期経営計画の「Challenge2025」に沿った事業見直しの一環である。中国合弁先の広汽三菱汽車の全株式を、三菱商事と共に広州汽車に譲渡する。三菱車の販売低迷により中国からの撤退を決断したが、その分は三菱自の中核地域である「ASEAN・オセアニア」への収益投資を集中して巻き返す考えだ。

 日本車の中国事業については、23年に入り中国のNEV(新エネルギー車=BEV、PHEV、FCEVの総称)市場が急拡大の一方で、販売競争が過熱し各社の収益が伸び悩んだ。現地合弁生産企業での稼働率低下からリストラも表面化しており、トヨタ自動車、日産自動車、ホンダら中国を主力地域とするメーカーも立て直しを迫られている。

 その中にあって三菱自は、かつてトラックで日本勢の中でも先行して中国に進出した日本車ブランドではあるが、今回いち早く離脱を決断したことになる。