一方、16年10月に日産の34.03%の出資を受けて日産の傘下となり、ルノー・日産の日仏連合に加わった三菱自は、日産とルノーの資本関係見直しのタイミングと合わせEV新会社アンペアへ出資することも決めた。
三菱自は、アンペアへの出資により欧州でEVのOEM供給を受けることを発表している。日産とルノーが事業改革の一環として設立するアンペアは、24年に立ち上げ予定だ。三菱自としては当面、欧州市場でのEV展開にアンペアを活用していくことになる。
三菱自の加藤隆雄社長は「25年度までの中期経営計画で、主力ASEAN・オセアニアでの収益力アップと、第二の柱として中南米・中東・アフリカを強化する。一方で先進技術推進地域(日本・北米・欧州・中国)の事業改善を進める。これにより、三菱自は成長フェーズに入ることになり、そのための準備が整ってきた」と、事業改革・商品力強化で成長に向かうことを強調した。
三菱自は、好調な上期実績を踏まえて23年度通期見通しを上方修正している。売上高は700億円増の2兆8500億円(前期比16%増)、営業利益は300億円増の2000億円(同5%増)、当期純利益は300億円増の1400億円(同17%減)となる見通しだ。当期純利益が前期比で減少しているのは、中国事業撤退による特別損失を計上しているためだ。
三菱自は19年度に258億円、20年度に3123億円の最終損失と2年連続の赤字決算となり大胆な事業構造改革を進めてきた。21年度の黒字転換を経て、現在は絶対的安定収益基盤の確立を目指しており、徐々にその成果も表れつつある。
特に商品面でも競争力のある新車の投入が続いている。
この23年度は、5月に「デリカミニ」を国内市場に投入、7月には世界戦略車の新型「トライトン」をタイで発表、12月には軽商用「ミニキャブEV」を発表して三菱自らしい商品強化を具現化している。