さよなら!生前贈与 #3Photo:PIXTA

生前贈与を使った節税術を封じ、相続税を大増税する制度改正はなぜ実施されるのか。財務省の資料から、今回の改正の狙いが浮き彫りになる。標的となるのは「資産3億円超」の富裕層だ。財務省が目を付けたのは、富裕層特有の“問題”行動だった。特集『さよなら!生前贈与』(全9回)の#3では、改正で富裕層がターゲットにされた背景を探る。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)

財務省の資料から浮かび上がる
増税の標的は「資産3億円超」の富裕層

「相続財産が多いごく一部の者は、贈与税の負担率が相続税の負担率を下回っている」――。

 2023年度の税制改正大綱に向けて、相続税・贈与税のルール変更を議論した政府税制調査会の専門家会合。10月5日の会合で、財務省の担当者は現行制度の問題点について冒頭のように指摘した。

 生前贈与を使った節税術が、23年度の税制改正大綱で大きく封じられる見通しだ(本特集#1『【スクープ】「生前贈与潰し」法改正の中身入手!年110万円贈与の節税効果激減、65年ぶり変更で大増税へ』参照)。

 改正で特に割を食うのは誰なのか。関係者は今回の改正について、「富裕層への増税になるだろう」と語る。

 そして、税理士法人レガシィの天野隆会長は、「改正で特に影響が出るのは、資産3億円超の富裕層だろう。そのヒントが財務省の資料に埋まっている」と指摘する。

 なぜ資産3億円超の富裕層が狙われたのか。次ページでは、資料から浮き彫りになった富裕層が狙われた理由と、財務省が目を付けた富裕層特有の“問題”行動を解き明かす。