サッカー日本代表が2024年1月1日、タイ代表との国際親善試合に臨む。史上初の「元日決戦」に招集された24人には、三笘薫・久保建英・遠藤航といった、欧州で活躍する常連組が含まれない。年末年始に所属クラブのリーグ戦があるためで、さらに三笘は負傷中でもある。だが「主力がいないから代表戦を見ない」と割り切ってしまうのは惜しい。国際経験が浅い選手も実力者ぞろいで、タイ戦は一見の価値アリだ。約35年にわたってサッカーを取材し、1993年の「ドーハの悲劇」を現地の記者席で目撃した筆者が、タイ戦の見どころを語り尽くす。(ノンフィクションライター 藤江直人)
「三笘・久保が不在」でも
元日タイ戦は見どころ満載!
「選手層の幅は、確実に広くなってきています」
2023年3月に船出した第2次体制の成果を、日本代表の森保一監督は胸を張ってこう答える。
指揮官の自信を物語るように、次の一戦にはフレッシュなメンバーが顔をそろえている。次戦は24年1月1日。タイ代表を東京・国立競技場に迎え、日本代表として史上初の「元日決戦」に臨む。キックオフ時間は午後2時。「NHK総合」で全国生中継される。サッカーファンならずとも、「久しぶりに代表戦を見たい」という人にはうってつけの試合である。
この試合に招集されている代表選手24人のうち、実に14人の代表キャップ数(国際試合の出場回数)が「5以下」となっている。
今回のタイ戦は、国際サッカー連盟(FIFA)が定める国際Aマッチデーの「期間外」に行われる。通常の代表戦のように、世界各国のリーグ戦を一律で中断して行うわけではない。そもそも、各国サッカー協会に選手を招集する権利も生じない。
したがって年末年始に試合がある欧州組は、当初からタイ戦の構想外にあった。今回招集されていない主力選手たちの実名を挙げると、三笘薫、久保建英、冨安健洋、鎌田大地、守田英正、古橋亨梧、前田大然、そしてキャプテンの遠藤航らが該当する。彼らの所属先はスペイン、イタリア、イングランド、スコットランド、ポルトガルのクラブで、なおかつ三笘は負傷離脱中だ。
一方、フランス、ドイツ、ベルギー、オランダなどのリーグには「ウインターブレイク」が存在する。そのため、こうした国々で奮闘する南野拓実、伊東純也、堂安律、上田綺世らはタイ戦に招集されている。すでにシーズンが終了し、オフ期間となった国内組(Jリーグの選手)も呼ばれている。
一連の事情によって、今回は代表歴の少ない選手が多くなった。しかし、だからと言って森保監督が選考に苦慮したわけではない。実際、初招集の選手は3人にとどまっている。