もう1人、パリ五輪世代のFW細谷真大(ほそや・まお/柏レイソル)もチャンスをものにした。

 細谷もまた、けがを負った古橋の辞退に伴って11月シリーズへ追加招集。シリア代表との第2戦で後半途中から出場し、同37分に出場3試合目で待望のA代表初ゴールを決めてみせた。

 今シーズンのJ1リーグにおいて日本人選手で2位タイ、全体では5位タイとなる14ゴールをマークし、シリア戦でも目に見える結果を残した22歳の細谷は、森保監督を再び振り向かせた。

 チーム力の底上げに欠かせない「若手の台頭」について、森保監督はこう語っている。

「競争のなかに入ってきてほしいですが、A代表はポジションを与える場所ではないとも思っています」

 つまり特別扱いはしない、自分で居場所を築き上げてほしいというメッセージだ。今回紹介した注目選手がタイ戦でも目に見える結果を残し、今後も代表に定着できるか注目である。

サッカー日本代表が
「急に強くなった理由」とは?

 さて、ここからは少し話題を変えて、サッカー日本代表が「急に強くなった理由」についても見ていこう。

 というのも、第2次森保ジャパンは今、破竹の連勝を記録している。エルサルバドル、ペルー両代表に連勝した6月を皮切りに、4つのシリーズでマークした「8連勝」は代表の歴代最長記録に並んだ。連勝中の総得点が34、総失点が5と攻守のバランスも最高のハーモニーを奏でている。

 しかも9月には敵地でドイツ代表を、中立地ベルギーでトルコ代表をともに4ゴールを挙げる快勝で撃破。両チームの監督が日本戦後に相次いで解任される事態となり、世界をさらに驚かせた。なぜ森保ジャパンは歴代最強と言っていい強さを身にまとったのか。理由として3点が考えられる。

 まずは、22年末のカタールW杯後も森保監督が続投した点だ。

 これまでの日本代表指揮官は、任期中に病魔に倒れたイビチャ・オシム、任期途中で解任されたハビエル・アギーレ、同じくヴァイッド・ハリルホジッチ各監督を除き、基本的にW杯終了をもって退任。後任にバトンを託してきた。そして指揮官が代われば、目指すスタイルや招集する選手たちの顔ぶれも大きく変わってきた。

 しかし今回は、W杯後も森保監督が引き続き指揮を執っている。そのなかで、ドイツ、スペイン両代表を撃破したカタール大会のメンバーから、ベテラン勢を除いた選手たちを継続的に招集。第2次体制の中心を担うなど、継続性が生まれた。