地方を飛び回る“ワーケーショナー” 絶賛、東京ワーカーが知らない自治体の「超VIPサポート」いつもと違う場所で仕事をすれば、思わぬアイデアが浮かぶ?  (写真はイメージです)Photo:PIXTA

2020年から全世界を襲った新型コロナウイルスのまん延で、リモートワークが定着した。そのなかで、市民権を得たのが「ワーケーション」だ。自治体のサポートはどのくらいあるのか、どんな施設が展開されているのか、自身も「ワーケーショナー」である筆者が、その魅力を紹介する。(フリーライター 東野りか)

自治体がさまざまなサポートを提供
積極的に利用しよう

「ワーケーション」とは、地方やリゾートに数日間移動して、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を同時に行おうというもの。コロナ禍で、国内客だけでなくインバウンド需要もなくなって大打撃を受けた観光地などが、ワーケーショナー(ワーケーションをする人)を呼び込みたいと画策した背景がある。

 たとえば、自治体主導のワーケーションの募集要項には「交通費や宿泊費をサポートしますから、“おらが町”のプログラムに参加してください」とか「美しい海のそばに、リモートワークに快適なシェアオフィスがありますよ」などの宣伝文句が、たくさん飛び交っていた。しかし現在は地域の観光需要が盛り返したので、以前よりサポート案件は減ったよう。

 そのなかでも、北海道富良野市では、宿泊は1人から1泊につき3000〜5000円、レンタカー代は1泊につき2500円の助成を行なっている。また、長野県岡谷市では、2泊3日以上の滞在ならば、交通費は1人1回1万円まで、宿泊費は1人1泊5000円まで、レンタカー代は1日1万円まで助成している。さらには福島県・秋田県・香川県の全域でも似たような助成金事業を行っている(金額は全て税込。詳細は各自治体のHP、ワーケーション受け入れの要項を参照)。もちろん、フリーランサーのような個人事業主でも、企業のグループでも参加OKだ。

 ワーケーションビギナーは、このような自治体のサポートを利用して移動先を選ぶのもいいだろう。ただし、自治体によっては、プログラムに関するSNS発信、指定の観光地巡り、報告書の提出等があるので、思ったより仕事ができないといった制約はある。

 しかし、普通に旅をするより断然コスパがいい。現在では「ワーケーション施設」とうたっている場所ではほとんどが高速Wi-Fi完備、パソコン接続可能なモニター、ホワイトボード、プロジェクターなどの会議用ツールがそろっている。そして施設にはたいていバーベキューの設備もある。

 企業単位で利用する場合、同僚と一緒に食材の買い出しや食事の準備をすれば、チームビルディング強化にも役立つだろう。昭和や平成時代の慰安旅行が減った今、ワーケーション企画が社内の結束を強化するのに一役買っているようだ。さらに、一部施設にはシェアキッチンもあるので、自炊派のお財布にも優しい。