「次は富士山の大噴火」は本当か?調べてわかった現状と“不安な備え”久しく静寂を保つ富士山だが「いつか噴火するのでは」と危ぶむ声は絶えない Photo:PIXTA

「もしも富士山が噴火したら?」
世間で募る大災害への不安

 能登半島地震の被害復旧に奔走する公務員たちを、強い不安感が襲っています。それは、ここ十数年、連続する大震災に続き、富士山噴火や南海トラフ地震、つまり日本の国家の存亡に関わる大災害が「次にいつ、起こってもおかしくない」という不安です。

 実際、そんなことが起こりえるのでしょうか。調べてみると、興味深い事実が浮かび上がってきます。

 2011年に発生した東日本大震災は「1000年に一度」と言われた大地震でしたが、実際、今から約1000年前の平安時代前期には、それに匹敵する大災害が立て続けに起こりました。

 たとえば、863年の越中・越後地震(北陸の越中、越後でM7以上)、864年の富士山と阿蘇山の噴火、869年の貞観地震(東北の陸奥でM8以上、同年肥後、出雲、京都、現在の千葉地方などでも大地震)、887年の仁和地震(東海、東南海、南海の三連動地震、M8以上)と、短期間に地震と噴火が頻発したのです。

 近年大地震が起きた東日本、熊本、北陸地域と同様の場所で貞観、仁和期にも大地震が起こっていることを考えると、近いうちに富士山噴火や南海トラフ地震が起こるという説も、単なる偶然とはいえない説得力をもっています。

 付け加えると、東日本大震災の4日後に、富士山直下を震源とする震度6強の地震が発生し、長さ6キロ、幅約10キロの断層が上下に約1メートル動いたとされます。断層が動けば、マグマの通り道に発展する可能性はありました。

 山梨県富士山科学研究所の藤井敏嗣所長をはじめ、何人もの識者が「富士山はいつ噴火してもおかしくない状況」とコメントしています。富士山の場合、江戸時代の1707年に起きた宝永大噴火が最後の噴火ですが、実は地層を調べると、5600年前から今までに噴火した回数は180回以上、平均で30年に1回の割合で噴火していたと言われます。にもかかわらず、足もとで300年も噴火していないことが不気味だというのです。

 では、もしも富士山が噴火したら、我々の生活はどうなるのでしょうか。今回は、富士山噴火のリスクとその“備え”について考えてみましょう。