高配当&高成長!新NISAで狙う日本株#17Photo:baranozdemir/gettyimages

DX(デジタルトランスフォーメーション)の追い風が続き、好調さを見せるITベンダー業界。企業のIT投資は依然として旺盛だが、ここにきて二極化の様相も垣間見える。オービックや電通総研が市場で高い評価を受ける一方、NTTデータグループが海外に不安を抱える実情も――。特集『高配当&高成長!新NISAで狙う日本株』(全20回)の#17では、そんなITベンダー各社の優勝劣敗を分析した。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

DX伴走を担うITベンダーの
選別色が強まる可能性も

「DX(デジタルトランスフォーメーション)は『検証期』に入った」。ITベンダー業界を担当するSMBC日興証券の菊池悟シニアアナリストは、近年産業界をにぎわせてきたDXと日本企業を巡る現状をこのように表現する。

 過去2~3年間を振り返れば、国内のあらゆる分野で、デジタル変革を推進するためのIT投資が活発化。日本企業から政府に至るまで、DXの意識が定着し、事業モデルから働き方、行政効率化といった取り組みが本格化した。

 一方で、企業がシステム開発を通じた事業モデル変革などに挑む際、ビジネスの理解に乏しいIT業者へ丸投げでは、DXなど絵に描いた餅に終わってしまう――。そんな知見や経験則が、システム開発を依頼する事業会社の側にも徐々に蓄積されてきた。いわば、DXの名の下に、むやみやたらとIT投資に手を出す導入期は過ぎ去り、企業の側も必要性などを吟味する段階に移ったということ。

 だとすれば、前例踏襲型のシステム開発しかできない“ご用聞きベンダー”はさらにニーズを失い、淘汰の波にのまれかねない。

 企業のDX伴走を担うIT業者への選別色が強まりかねず、追い風が継続中といっても、額面通りに喜べるほど楽観視はできないということだ。

 では、そんな新時代に選ばれるのはどんなベンダーなのか。

 以降では、本特集#3『新NISAで狙いたい「大型成長株」ランキング!【全50社】3位レーザーテック、1位は?』の大型成長株ランキングに名を連ねたNTTデータグループ、電通総研、オービック、野村総合研究所の4社に焦点を当てながら、各社の有望性を分析。株価や業績などの定量的観点を含め、二極化の波も生じ始めたITベンダー業界の未来シナリオをひも解いていく。