注目テーマをメッタ斬り! “人気株”の勝者・敗者#1Photo:Suriyapong Koktong/gettyimages

DX(デジタルトランスフォーメーション)の追い風が吹くITサービス各社だが、同業界のトップアナリストは今後、「知財型」で稼げるモデル確立の成否が明暗を分ける鍵になると指摘する。特集『注目テーマをメッタ斬り!“人気株”の勝者・敗者』(全18回)の#1では、この観点から市場での評価の高い“意外な勝ち組”2社の具体名を開陳する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

5期前から平均年収230万円アップ!
意外な有望ベンダーの具体名とは?

「人材に頼らず、知財で稼ぐモデルに転換できているかどうか」。大和証券の上野真チーフアナリストは、担当するITサービス企業の今後の明暗を分ける鍵について、このように分析する。

 振り返れば近年、産業界をにぎわせるDX(デジタルトランスフォーメーション)の追い風を受けてきた代表的なプレーヤーが、システム開発などを手掛けるITベンダー各社だ。そして、伝統的なSIer(システムインテグレーター)といえば、案件受注後、開発に必要な人材を次々と投入する、人月型でプロジェクトを進めるのが通例だった。

 しかし、ただでさえ人手不足だったところへ、昨今は物価高や賃上げの波が本格化。引く手あまたのエンジニアは、人件費が上昇傾向にあり、従来型のSIerのようなモデルでは、採算を維持するのが難しくなっている。

 そこで重要性を増しているのが、ソフトウエアなどの知的財産だ。例えば業務用パッケージソフトのような、人手に頼らない収益源を有している企業は強いといえる。

「知財型」シフトが実現できれば、相対的に高収益につながり、従業員の給与も高くなる。さらに優秀な人材が集まり、新たな知財を生み出す……。そんな好循環を築くベンダーこそ、中長期的な業績拡大や株高に期待できる。だからこそ、人月投入型のビジネスモデルを脱し、知財を活用しようとする志向は、最近の業界トレンドとなっているのだ。

 実際、DXへの引きが強い昨今はITコンサルティングに強い野村総合研究所が“勝ち組”の代表格だったが、米アクセンチュアが3月に発表した大規模リストラ(本件の詳細は『米アクセンチュア1.9万人削減へ、日本法人へのリストラ波及は?独自入手の内部メールに示唆』参照)などを受け、この領域はグローバルに暗雲が垂れ込めている。海外企業買収などでITコンサルに力を入れるNTTデータと併せ、足元は両社ともやや苦戦気味だ。

 次ページでは、期間別の株価成績表などを示した下図をモザイクなしで開陳するとともに、上場ITベンダー20社の最新の年収ランキングを公開。そこからは、1・3・5年の株価騰落率で「3冠」となった老舗IT企業に加え、一般的な知名度こそ高くないものの、5期前から平均年収が230万円も増えた意外な高年収企業の存在が明らかとなった。

 一方、グローバルな景気減速懸念が強まる中、従来は高給で勝ち組だったはずの大手SIerの先行きは暗いのか?知財型に移行するための鍵はどこにあるのか。それぞれ、一挙に解説していこう。

図表:SAMPLE ITサービス関連企業の株価成績表