日本再浮上&AIで激変! 5年後のシン・業界地図#15Photo:Teera Konakan/gettyimages

5年前、現在、そして5年後──。産業界の姿はどのように移り変わるのか。特集『日本再浮上&AIで激変! 5年後のシン・業界地図』(全16回)の#15では、本特集で個別に分析を行った12業種の他にも、注目度の高い金融やゲーム、ITサービスなどを含む計20業種の主要企業について、5期前から直近、5期先までの純利益を総覧。市場関係者の見通しをまとめたIFISコンセンサス予想を活用し、「数字で描く未来図」を視覚的に分かりやすい形で大解剖した。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

金融、ゲーム、ITサービス…
20業種の業績をビジュアル解剖!

 振り返れば、今世紀の経済は「5年」ごとに潮目が変化してきた。企業はそのたびに地力を試され、時代に取り残された者たちは、大淘汰の渦にのみ込まれてきたのだ。

 例えば、今から5年前の2018年初頭。低金利で安定成長が続く「適温経済」の世界で突如、米国の雇用統計をきっかけに米長期金利が急騰した。米国株は当時史上最大の急落劇を演じ、恐怖が世界各地に伝播。“適温”終焉の風雲急を告げる不穏な転機となった。

 さらに5年前の13年。前任の黒田東彦氏が新総裁となった日本銀行では、大規模金融緩和「黒田バズーカ」が放たれ、アベノミクスの号砲が雰囲気を急変させた。その5年前には、リーマンショックが世界中を驚天動地に陥れた。

 時計の針を戻し、23年──。業績や経済の動向をいち早く織り込む株式市場で、地殻変動が生じた。伝説的投資家のウォーレン・バフェット氏が今春に来日し、日本株への追加投資を示唆。外国人投資家の大きな呼び水となったのだ。

 東京証券取引所が上場企業へ「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ」是正を要請する資本コスト改革も追い風となり、世界の中で割安に放置されてきた日本株が、一気に脚光を浴びている。

 産業界では、「ポストコロナ」の足取りを速める中、生成AI「ChatGPT」の急拡大に象徴される“新・AI時代”が到来した。ビジネス環境を一変させかねない新トレンドにより、5年後はどんな景色が広がるのか。

 答えの一端を探るべく、本稿では各業界を担当する市場関係者の予想純利益を基に、計20業種の主要銘柄業績をビジュアル解剖。以下は、サンプルとして金融セクターの図を示したものだ。

 過去(5期前)、現在(直近)、未来(5期先)の変遷をたどることは、業界や企業ごとの浮沈の大局観をつかむ上で大いに役立つだろう。ここでは、EPS(1株当たり利益)やPER(株価収益率)の計算の基にもなり、投資家目線で重要度の高い純利益に焦点を置いた。

 なお、本特集『日本再浮上&AIで激変! 5年後のシン・業界地図』では、特に注目の12業種をピックアップ。各業界や企業ごとの分析では、事業自体の先行きに注目し、本業の利益を示す営業利益の予想データを活用しながら、業績や再編シナリオ、給料に至るまでを徹底分析している。

 それでは、次ページ以降、残り19業種の純利益データの解剖図を総覧していこう。