実現益が非課税となる新NISAでは、株価5倍、10倍を狙える「グロース株」にも注目したい。候補となるのが、売上高20%成長を続ける企業が目立つ「SaaS(Software as a Service)銘柄」である。ただし、今後SaaS銘柄は売上高拡大だけでなく、利益成長も求められる局面に突入する。特集『高配当&高成長!新NISAで狙う日本株』(全20回)の#16では、SaaS各社の特徴を紹介しつつ、評価軸が変わる中での勝ち組候補を予測した。(ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
売上高20%成長が目立つSaaS
今後は収益性も求められる局面に
実現益が非課税となる新NISA(少額投資非課税制度)では、株価5倍、10倍を狙える「グロース株」にも注目したい。候補となるのが、売上高20%成長を続ける企業が目立つ「SaaS銘柄」だ。
SaaS(Software as a Service)とは、簡単に説明すると「クラウド経由でソフトウエアを提供する仕組み」である。新型コロナウイルスの感染拡大で導入が加速したが、依然として中小企業のSaaS導入率は低く、今後も市場開拓余地は大きい。
SaaS業界分析の第一人者であるスマートキャンプの阿部慎平COO(最高執行責任者)は「DXの流れは不可逆だと考えており、インボイスなど政策的な追い風もDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れを加速させる。潜在市場も大きく、特に地方の中小企業は市場開拓の余地がある」と指摘する。
ただし、市場の評価という意味では評価軸が変化しつつある。
「売上高成長は大事だが、足元は収益性も重視される段階になりつつある。投資先行で赤字を継続しながら、売上高を急拡大させてきたマネーフォワードやフリーも黒字化を意識したフェーズになっている」(みずほ証券の小山和輝アナリスト)
従来SaaS銘柄の株価水準は、時価総額を年間売上高で割ったPSR(株価売上高倍率)で判断することが多かった。だが今後は、他の銘柄と同様に株価を1株当たり利益で割ったPER(株価収益率)でも評価される時期に移行しつつあるのだ。
「30%成長企業でPSR10倍、3年後のPERで40~50倍程度が上値のめどになる」(小山氏)
SaaS企業は売上高総利益率が高く、「損益分岐点を越えると20~30%程度の営業利益率が見えてくる」(阿部氏)というが、増益スピードを加速させる企業はどこか。次ページでは、SaaS企業のビジネスモデルを解剖するとともに、評価軸が変化しつつある中で勝ち組となるSaaS企業を大胆に予測する。