資本市場での価値創造を目指す
継続的な検討・取り組みとは

 24年1月15日に公表された対応企業リストの中で、対応が充実していると筆者が考える企業は、コンコルディア・フィナンシャルグループである。当グループは2022年度決算に係るインフォメーションミーティングにおいて、企業価値向上に向けた取り組みを公表した。具体的には、協業他社比較を含めた現状分析・評価、そしてPBR及びROEロジックツリー分解に基づいて企業価値向上への方針、取り組みが説明されている。

 また当グループは、2023年度中間決算に係るインフォメーションミーティングにおいても、企業価値向上に向けた取り組みをアップデートした。ROE改善の取り組みの進捗についてKPIを含めて極めて詳細に説明し、資本市場との情報の非対象性を積極的に解消するためのIRの充実が、その過程も含めて非常に良く理解できる内容と言える。

 東証再編に係るフォローアップはこれで終わりではない。対応企業のリストは毎月更新される予定であり、「検討中」と開示中の企業については、対応の時間軸まで言及することが要求されている。また、投資家からのフィードバックについても半年に1回程度の頻度で集計・公表される予定であり、それを受けて追加的対応も検討される。

 上場企業にとっては、リストに掲載されることがゴールではない。また、株価変動や資本市場での評価はIR部門に閉じた課題ではない。資本市場における持続的な価値創造のための継続的な検討と取り組みの推進は、経営レベルで対処すべきテーマである。

(フロンティア・マネジメント シニア・ディレクター/公認会計士 武田惇吾)