“低PBR代表格”の自動車部品メーカー、評価されるために必要な「事業再構築」とはPBR1倍割れの自動車部品メーカー。どうすれば投資家の期待に応えられるか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

自動車・自動車部品セクターの
低PBRは何が原因なのか?

 東京証券取引所によるPBR1倍割れ企業への改善要請により、株式市場では低PBR企業のバリュエーション是正策に対する期待が高まりつつある。同要請が公表された3月末以降、日経平均株価は10%上昇した一方、筆者が過去に証券アナリストとして担当した自動車・自動車部品セクターの同期間の平均株価は7%の上昇と、市場全体に対し劣後している(5月19日時点)。

 バリューの代表格とされる自動車・自動車部品セクターの中でも、自動車セクターの平均PBRは0.8倍と、プライム市場全体の1.2倍を大きく下回る。また、自動車部品セクターの平均PBRは0.6倍ともう一段低い。さらに、欧米の自動車部品セクターのPBRがおおむね1~2倍の水準にあるのと比較しても、いかに日本の自動車部品セクターのバリュエーションが低いかがわかるだろう。

 日本の自動車部品セクターの低PBRの一因として、平均5%強にとどまるROEの低さが挙げられる。過去数年間にみられた新型コロナウィルスや半導体不足による自動車生産の停滞、インプットコストの増加などによる影響が大きく、各社の一株当たり利益は大きく毀損した。株価、バリュエーションの切り上がりのためには、まずは業績の回復が急務であろう。

 低PBRのもう一つの要因として挙げられるのが、株価に織り込まれている期待成長率の低さである。日本の自動車部品セクターのPBR、ROE、株主資本コストをもとに試算すると、株価にはゼロ成長、もしくはマイナス成長が織り込まれているとの見方もできる。

 これは自動車メーカーにおいても見られる傾向だが、(モビリティ変革を表す4つの領域の頭文字をつなげた造語である)CASEに代表されるメガトレンドへの対応が求められる中、持続的な利益成長が困難だと株式市場に評価されていることの証左と言えよう。