株式バリュエーションの
本質的な上昇のための「3つの視点」
株式バリュエーションの本質的な上昇のためには、以下3点が重要と筆者は考えている。
1点目は、投資家と同様の目線を持つことだ。投資家は、数多の上場企業の中から投資先を選定する。自社を取り巻く各種市場から離れ、天動説的な中期計画をいくら情報発信しても、投資家から選択される企業にはなれない。株式市場、商品市場、労働市場など環境と自社という客観的視点を持つことが重要だ。
2点目は、株式バリュエーションを構成する複数のパラメータについて、自社の現状を認識することだ。具体的には、従来の収益性指標(EBITDAマージンや営業利益率など)に加えて、資産の効率性・生産性指標(ROEやROICなど)や資本コストについて認識していくことが必要となっている。
3点目は、上記2点目のパラメータの現状を踏まえて、経営戦略がどのパラメータの変化を通じて株式バリュエーションを引き上げるかという経路を認識することだ。各社のパラメータの現状によって、ROICや資本コストの増減が株価に与えるインパクトは異なってくる。それによって、選択する経営戦略も自ずと異なってくる。