東証「株価を意識した企業リスト」に見る平均値マジック、本質的なバリュエーション上昇への3つの視点経営者に求められる、株式バリュエーションの本質的な議論とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「株価を意識した経営」に
プライム市場で高まる関心

 東京証券取引所(東証)は2023年3月、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」を上場企業に対して要請した。そして東証は24年1月15日、対応した企業のリストを公表した。

 23年12月末時点で、プライム市場の49%(1,656社中815社)、スタンダード市場の19%(1,619社中300社)が対応について開示済みと報告された。特にプライム市場では、検討中の企業も含めて約半数の企業が何らかの対応を実施しており、関心は極めて高いと言える。

 22年4月に実施された市場区分の見直しに関するフォローアップ会議の資料では、主要国のプライム市場において、日本の1社当たり平均時価総額が他国に比べ小さいと指摘された。これは、株式の流動性を選好する海外マネーの観点からは重要な指摘に見える。実際、プライム市場の企業数は、22年4月の区分変更直前の2,176社から、今回集計時の23年12月には1,656社に減少し、結果として1社当たり平均時価総額が押し上げられている。