コンプガチャ問題にWELQ騒動と、世間を揺るがす社会問題を引き起こしてきたディー・エヌ・エー(DeNA)。WELQ騒動後も企業体質を変えられず、自治体の医療データを目的外に利用してしまったのはなぜか。特集『DeNA 医療データ乱用』(全6回)の#4では、3年前の契約書で突如削除された条文と、複数の元子会社社員による証言を基に問題の構造を分析した。その結果、WELQ騒動の調査報告書で指摘されていた課題を依然払拭できていなかったことが判明した。(ダイヤモンド編集部 永吉泰貴)
グリー圧力、コンプガチャ、WELQ…
DeNAに絶えないモラル違反の数々
本特集では、ディー・エヌ・エー(DeNA)の医療データ「目的外利用」を報じてきた。
ただし、DeNAのモラルを欠いた行動は、今に始まった話ではない。下表は、DeNAが引き起こしてきた主な不祥事を示したものだ。
2012年の「コンプガチャ」とは、ゲーム内の「ガチャ」によって数種類のアイテムの収集をコンプリート(完成)させると、よりレアなアイテムを獲得できる仕組みだ。射幸心を煽る仕掛けにより多額の課金をするユーザーが後を絶たず、社会問題化した。
これを受け消費者庁は、コンプガチャが景品表示法に抵触すると表明。その後、コンプガチャは全廃された。
さらに物議を醸したのが、16年のWELQ騒動だ。
WELQとは、DeNAが運営していた医療情報のキュレーションサイトだ。不明瞭な医学情報の発信や著作権侵害を多数指摘され、同年12月には全てのキュレーションサイトの閉鎖に追い込まれた。
その後DeNAは第三者委員会を設置し、17年3月に調査報告書が公表された。同報告書には、DeNA内部における意思決定の様子が詳細につづられ、原因となったDeNAの問題も提起されている。
しかしWELQ騒動で指摘されたDeNAのあしき企業体質は、今もなお変わっていなかった。
実は本特集『DeNA 医療データ乱用』を読んだDeNA子会社データホライゾンのOBから、複数の告発があった。いずれも、医療データの取得先である自治体への不誠実な姿勢を自戒し、その経緯を語りたいという動機だった。
次ページでは、276ページに及ぶWELQ騒動の調査報告書から分かる、DeNAの新規事業参入から事業崩壊に至るまでの7段階を示す。その上で、複数の子会社OBの証言と、3年前の契約書で突如削除された条文を分析。するとWELQ騒動から一向に変わっていない、DeNAの構造的な「病」が明らかになった。