監査法人業界は今、大きな変化に直面している。長らく続いた「大手4法人+準大手5法人体制」が、PwC Japan有限責任監査法人の発足により「4+4」へ再編。さらに太陽有限責任監査法人などへの行政処分や、若手の“監査離れ”などをきっかけに、さらなる再編へつながろうとしている。特集『激変!3大士業の仕事&稼ぎ方』(全12回)の#2では、そんな監査法人業界で高まる再編機運をレポートする。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男)
PwCあらたとPwC京都が合併
監査法人業界で高まる再編機運
上場企業が作成した財務諸表を監査する監査法人の公認会計士は「資本市場の番人」といわれ、健全な資本市場に欠かせない存在だ。その番人は今、かつてない激動の真っただ中にいる。
きっかけは2010年以降、オリンパスや東芝など、日本を代表する有名企業で不正会計事件が相次いで発覚したことだ。会計士が不正を見抜けず、日本の株式市場の信頼性を傷つけてしまったのだ。
そこで監査法人を監督する金融庁や日本公認会計士協会は、監査品質を向上させようと監査を厳格化。その結果、監査手法は複雑化し、さらに新たな監査手法を次々と導入したことで、監査でやるべきことは毎年のように増えていった。
それと同時に、監査法人と公認会計士を検査する公認会計士・監査審査会(CPAAOB)も監査品質を向上させるべく、準大手や中小監査法人に対して厳格な検査を実施。その結果22年以降、処分勧告の発令数が増えている。
こうした業界環境の変化は、監査法人を再編へと走らせている。実際、四大監査法人の一角を占めていたPwCあらた有限責任監査法人と、準大手で同じPwCグループのPwC京都監査法人は23年12月に合併。PwC Japan有限責任監査法人として新たなスタートを切った。長らく続いた「大手4+準大手5」体制が崩れた瞬間だった。
だが、再編はこれだけにとどまらない。次ページで再編が起こる背景を詳しく解説するとともに、新たな合併の引き金となりそうな最新事情について詳しく解説していく。