数字的に分析しても、自民党に厳しい選挙になります。というのは、小選挙区制度になってからの国政選挙では東京・大阪といった浮動票が多い地域での結果が、全体の結果を決めることが多いからです。たとえば、民主党が政権交替をした2009年の衆議院選挙では、東京では25区の選挙区のうち前回の総選挙で自民が24、民主が1だったのに対し、このときは民主が21で自民が4という結果でした。

 国全体の結果は民主が308で自民が119。小選挙区では民主221、自民64という大逆転でした。東京が日本を変えたのです。ポスト岸田の選挙でも、東京に強い小池氏とファースト、そして大阪に強い日本維新の会がタッグを組むと、今でも維新は45の議席があるため、その2倍近い議席数も予想できます。しかも、維新もファーストも基本的に保守政党を自称しているので、自民離れした票が流れる可能性が高く、自民党が過半数を制する可能性が少ないことは十二分に予想できます。

 過半数割れをした自民には、公明との連立でも数が足りない事態が起きて、自民、維新、小池連合が模索される可能性は高いでしょう。維新と小池氏の思想から見て、立憲や共産との連立は考えにくく、維新の馬場伸幸代表ではあまりに全国での知名度が足りません。そして自民から首相が出るようでは、維新も小池氏も連立を断る可能性が高くなります。

自民・維新・ファースト連立で
少数政党の小池氏がトップに?

 これではあまりに不安定な内閣になるため、少数政党の小池首相を中心に、1993年の政権交代で日本新党の細川護煕氏が首相になったのと同じパターンになる可能性は大いにあります。やはり、実績と知名度が他の候補より相当大きい上に、東京五輪開催を成し遂げ、1000万人という小さな国家なみの人口を抱える東京都の政治を一定期間担ったという安心感もあります。

 その上、自民党には小池氏と繋がる二階元幹事長という応援団もいるため、場合によっては、自民党脱党組と野党連合の政権も成立しかねないのです。菅義偉元首相や河野太郎氏、小泉進次郎氏などは可能性が十分あるでしょう。要するに、与党にも野党にも、顔と名前が全国区で好感度が高い、あるいは政治的信頼度が高いという政治家が、ほとんどいないのです。

 以上が、選挙通や自民党関係者から集めた「小池首相誕生」というシナリオです。ただ、こんな風に私は小池首相を予想しましたが、決してそれを望んでいるわけではありません。