M&Aによる第三者承継は
「理念共有」と「タイミング」が肝

 親族がいない、もしくは親族に適任者がいない場合、親族外から後継者を選ぶことになる。まず候補となるのが、社内の従業員だ。選ぶ基準は能力だけではなく、他の社員たちがついてくるかどうかも大切。

 藤間氏も6年前、65歳の時「親族外承継」をした。55歳で「10年後には社長を辞める」と社内に宣言し、それを計画通りに実行。社内で後継者選びを始めた際にまず行ったのは、社内アンケートだ。パートを含めた全てのスタッフ200人に「社内から社長を選ぶなら誰がいいか」と名前とその理由を尋ね、その結果を踏まえて後継者を選んだ。

 親族にも社内にも後継者がいない場合、廃業以外で残る選択肢はM&A(企業の合併・買収)による第三者承継となる。

 第三者承継では、買い手の意向を事前によく確認する必要がある。実際に、安易なM&Aで全く違う業態に変えられてしまうこと、土地を目的としたM&Aの場合、社屋が解体されて文字通り“跡形もなくなる”ことだって考えられる。それでは、何のための事業承継か分からない。時間をかけて買い手と話し合い、買い手と売り手とで理念を共有し、幸福なM&Aを目指したい。

 さらに、M&Aはタイミングも大事だ。財務体質が良い時、良い顧客がいる間に売らないと、売り手の主張も通りにくくなる。時期を逃してしまうと、二束三文でも買い手が見つかればいい方で、どうやっても売れないという事態に陥っている会社はいくつもある。