また、デジタル行政サービスの信頼度について、子育て世代と思われる30代女性の信頼度が低く、強い不信感を持っていることが気掛かりだ。さらに、窓口手続きとデジタル行政サービスの比較では、高齢になるほど窓口サービスの利用意向が強い。

 このように若者世代は必ずしも「デジタルは良い」と思っているわけでもなく、高齢者を含めデジタル化に適応困難を感じている人も多い。窓口サービスを進化させ、丁寧なフォローで信頼を回復することも必要だろう。

 最近では「書かない窓口」など、窓口のDXも進んでいる。ある運転免許センターでは、スマートフォンで予約して2次元コードを取得し、窓口の機械でスキャンすると自動で書類が印刷され、必要事項にチェック・署名するだけで手続きできた。

 便利な半面、ネット環境のない人は予約できず、窓口に並ばざるを得ない。別の免許センターでは現金不可でトラブルを招いた。

 デジタルを前提とした社会へ向かう過渡期だといえばそれまでだが、わが国は10人に3人が高齢者で、独居者も多く、デジタル弱者が孤立しないようサポート体制が必要だ。デジタル社会において「誰一人取り残さない」ために、さらにもう一工夫が求められる。

(行政システム顧問 蓼科情報主任研究員 榎並利博)