【就活生必見!】安定から競争へ、だからこそ優秀な若手が活躍できる医薬品業界の就職動向医薬品各社は安定した業績が魅力だった(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「自己分析・自分探し」を通じて、新卒就職や転職といった人生の各局面ごとに「会社・職業選び」は必要となる。そんな仕事人生の全体像を描く上で欠かせないのが、業界・企業研究だ。就活生に向けて、注目の21業界における最新トレンドや企業が求める人材像について、企業分析のプロへの取材を基に解説する。第3弾は「新しい時代の生活を守る業界」として、「医薬品業界」を取り上げる。(取材・文/ダイヤモンド・ライフ編集部 大根田康介)

 ここ数年、医薬品はライフサイクルが短くなって会社の業績が変動しやすくなっており、新薬の開発難易度も上がっている。数年前まではある病気の治療薬が主力だったが、今では別の病気の治療薬が主力、ということは珍しくない。

 医薬品各社はこれまで業績が比較的安定していたが、今後は独占販売期間が認められた主力製品の特許が切れるなど、経営環境が変わる可能性がある。そのため、「状況に応じて必要な人材を臨機応変に採用したいというニーズが高まっている」と、大和証券アナリストの橋口和明氏は話す。

スペシャリストの
雇用流動化が進む

 医薬品業界では、総合的な知識が必要とされる。理学的知識はもちろん、知的財産の保護が特許ビジネスの根幹なので知財についての知識も大事である。そのため、文系・理系を問わず、さまざまな経験やノウハウを持つ人たちが活躍できる場がたくさんある。

 また、経営の見通しが立ちやすい時代は、一人の社員に長期間さまざまな業務を経験させて、ゼネラリストを育てる余裕があった。

 今後は、開発に力を入れるべきステージなのか、有望な開発製品があって販路を開拓するタイミングなのかといった状況に応じて、スペシャリストを採用していくニーズが強まりそうだ。

 米国では、バイオロジー(生物学)、ケミストリー(化学)、工学エンジニアリングといった特定の領域に強い人が、足元でその人材を必要とする複数の会社を渡り歩くケースも多い。

 一方で、日本では安定的に雇用され、一社にとどまるスペシャリストが多かった。

 ここに来て海外進出する企業が増えており、採用競争も活発化する中で、雇用の流動化が進み、優秀な若手がより自分の実力を試せる業界になっていくだろう。