就活生が知らない売り手市場の内情、「早く内定をもらえた!」に潜むワナ昨今の企業の「内定」の出し方はどう変化しているのか。知らないと差が付く現状とは(写真はイメージです) Photo:PIXTA

企業の採用活動が早期化していると言われる。その原因の一つに、就活ルールの変更がある。2024年卒から、企業がインターンシップで得た学生の情報を採用活動に使えるようになったのだ。企業の採用活動にはどのような変化が起きているのか。人気企業の採用から育成までを支援するダイヤモンド・ヒューマンリソースの採用コンサルタント・福重敦士氏が、売り手市場と言われる25年卒の採用活動で起こった変化について解説する。

内定の出し方は短期集中型から
長期分散型へ移行

 2025年卒から企業がインターンシップで得た学生の情報を採用に使用してもいいことになりました。今回はこの変更も含め、近年の採用マーケットの変化について、その背景を踏まえながら解説します。

 足もとでは人手不足で「売り手市場」と言われますが、その実態はどういうものか。ダイヤモンド・ヒューマンリソースが毎年行っている採用活動に関する調査があります(https://www.diamondhr.co.jp/report/index2.html)。その調査のデータから、ここ15年間の、学生のエントリー数と内定者数(平均)の推移を見てみましょう。

 2010年では、学生は80社にエントリーして、1.7社に内定しています。有効求人倍率は1.62倍です。これに対して2024年は、エントリー数が36.7社、内定は2.94社で、有効求人倍率1.71倍。1人当たりの応募企業が半分以下になっていますが、内定社数は上がっています。1人当たりが獲得する内定が2.94社ですから、3社のうち2社は内定を出しても学生に入社してもらえないことになります。そういう意味で、現在は確かに売り手市場で、学生に大変有利に見えるかもしれません。