東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で開かれた自民党大会は異例ずくめだった。3月17日午前10時半、暗転した会場中央の大型ビジョンに白抜きの白線で描かれた石川県能登半島の地図が浮かび上がった。そして能登半島地震の犠牲者に対する黙とうから大会が始まった。しかし、大会を貫いたテーマは地震ではない。昨年末以来の派閥の政治資金パーティーを巡る裏金問題だった。
来賓として最初に登壇した公明党代表の山口那津男は「お祝いのあいさつ」と述べて話を締めくくったが、中身は苦言のオンパレードといってよかった。目の前に座っていた首相の岸田文雄に進言するかのように警鐘を鳴らした。
「政治資金を巡る問題は国民の大きな不信を招いている。残念ながら、国民の納得感を得られるところに至っているとはいえない」
山口発言の背景には、3月14日に行われた参院の政治倫理審査会の弁明に立った前参院幹事長の世耕弘成らの対応が逆に政治不信を増幅させたことがあったとみていい。さらに、9日に産経新聞が暴露した自民党和歌山県連の青年局による常軌を逸した懇親会が象徴する自民党全体の緩み、おごりに対する警告でもあった。
これに対して自民党幹事長の茂木敏充も率直に党の現状を認めた。
「深い反省と危機意識に立つ。全く新しい自民党をつくり、姿を示していく」