根回しなしの「急展開解散」で政局一変、たった1日で高市首相を翻意させた二つの事情1月9日、首相官邸に入る首相の高市早苗。翌10日、「読売新聞」が朝刊1面トップで「首相、衆院解散検討」と報じた。与党幹部にも高市からの事前通告はなかったという Photo:JIJI

 2026年の政局の舞台はいきなり衆院解散・総選挙の場面から始まった。その幕を開けたのが「読売新聞」1月10日付朝刊の1面トップ記事(正確には9日午後11時のネット配信)だった。白抜きの大見出しが躍った。「首相、衆院解散検討」――。脇見出しでは「2月上中旬投開票 23日通常国会冒頭に」と具体的な日程を報じた。

 ただ読売は昨年7月の参院選後に「石破首相退陣へ」と号外まで出して誤報したばかり。このため追随報道に二の足を踏むメディアもあったようだ。しかし、逆の見方も成立した。「2度続けての大誤報はあり得ない。確たる情報がなければ踏み込まなかったはずだ」(大手メディア幹部)。読売は3面で詳細な関連記事を掲載して1面の記事を補強した。読売の解散報道によって政治状況は激変した。報道直後に首相、高市早苗に近い政権幹部はこう語った。

「今日(10日)中に総理が報道を否定しない限り、23日解散になるだろう」

 それを裏付けるように総務省は10日午後、各都道府県の選挙管理委員会に対して衆院解散を前提に準備を進めるよう通知した。その文書には報道を引用する形で「1月27日公示―2月8日投開票」「2月3日公示―15日投開票」の選挙日程も記述されている。総務省が独自に判断できる範囲をはるかに超える。発信者は高市もしくは官房長官の木原稔以外には考えられない。

 高市は内閣記者会のインタビュー要求を拒否した。高市が報道の既成事実化を狙ったとしか思えなかった。しかも野党どころか自民党、日本維新の会の与党幹部にも高市の事前通告はなし。読売の報道を見た維新幹部は真っ先に自民党幹事長の鈴木俊一と連絡を取った。驚きの返事が返ってきた。