10月31日、韓国・慶州で中国国家主席の習近平(右側手前)と会談する首相の高市早苗(左側手前)。そのわずか1週間後の台湾有事を巡る高市発言で日中関係は激変した Photo:JIJI
首相の高市早苗が師と仰ぐ元首相の安倍晋三が好んで使った「ロケットスタート」をなぞらえるように高い内閣支持率をたたき出している。直近の共同通信と「朝日新聞」の内閣支持率は共に69%に達した。高市に追われるように首相の座を去った前首相の石破茂もこう漏らす。
「今は何を言っても始まらない。静かに見守るほかない」
ところが高市の足元を思わぬ事態が直撃した。「一天にわかにかき曇る」――。発端は11月7日の衆院予算委での高市自身の答弁にあった。台湾有事を巡って集団的自衛権の行使ができる存立危機事態に当たる可能性があるとの認識を示したことだ。中国が強く反発。さらに駐大阪総領事の薛剣(せつけん)による常軌を逸したX(旧ツイッター)への投稿が日中双方の対立をあおった。
「その汚い首はちゅうちょなく斬ってやるしかない」
自民党内も激しく反応した。政調会長の小林鷹之も「毅然たる対応を政府に求めたい」と述べたほか、党内には強硬論が広がった。
「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)として国外退去を命じるべきだ」――。日中双方の外務省がそれぞれの大使を呼び、抗議の応酬となった。中国は14日になって中国国民の日本への渡航自粛を喚起した。インバウンド(外国人観光客)への依存度を高めている日本の観光業への影響が懸念される。中国は「抗議」の域を超えて対日圧力の強化に向かう。







