高成長&高年収!半導体160社図鑑#12Photo:adventtr/gettyimages

装置・素材などの半導体株が値上がりする中、「出遅れ」銘柄としてひそかに注目されるのが半導体商社だ。実は日本の半導体商社は世界でも特殊な環境に置かれており、大規模な再編の圧力が業界全体にかかっているのだ。イベントは満載の半導体商社業界は投資としてアリなのかナシなのか?特集『高成長&高年収! 半導体160社図鑑』の#12ではさまざまな意味でひそかな注目を集める半導体商社業界について取り上げる。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)

半導体デバイスメーカー傘下の上場企業が
多数存在する日本の半導体商社業界

 4月1日。かつての業界最大手で、最大のライバル同士だった企業が経営統合した。半導体商社大手のリョーサンと、菱洋エレクトロだ。

 前者は元NEC系の商社、後者は元三菱電機系の商社で米エヌビディア製品の取り扱いを担当する企業でもある。2社の統合会社リョーサン菱洋ホールディングス(HD)の売上高は約4500億円。首位のマクニカHDに続く2位集団が誕生したことになる。

 だが、この統合には不穏な影が付きまとう。昨年の経営統合の発表後、急速にリョーサン株を買い増し、今年1月時点では関連会社の持ち分も含めると発行済み株式総数の15.04%を持つシティインデックスイレブンスのことだ。いわゆる旧村上ファンドで、経営統合の株主総会の直前に、統合比率を巡り反対声明を出すなど、活発な動きを見せている。同社は「今後も役員を送り込んで新会社の経営に関与することを狙っているもようだ」(半導体商社に詳しいグロスバーグの大山聡代表)という。

 シティインデックスが半導体商社株を狙うのはこれが初めてではない。かつてはエクセル、三信電気などの半導体商社の株を買い集め、業界再編に絡んできた。

 そもそも、なぜ半導体商社は「狙われる」のか。そして、一般には少しなじみが薄い半導体商社業界とは、今どんな状況に置かれているのか。出遅れ半導体銘柄として物色する価値があるのか、今後には期待できるのか、という視点が必要だ。代表的な企業の分析や、世界の状況との比較も含めて次ページから見ていこう。