全社売上高でインテルをエヌビディアが抜くという事件が起こった2023年。今の半導体業界は、まったく異なる成り立ちの企業3社がトップに並ぶ世界だ。エヌビディア、インテル、台湾TSMC、半導体世界トップスリーの強みとアキレス腱は何か?そして次の勝ち筋と脱落者は?日々流れるニュースからだけでは、本質までは理解ができない。特集『高成長&高年収! 半導体160社図鑑』の#18では、三社の財務諸表を読み解き、その勝ち筋と今後の勝敗を見定めていこう。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
同じ半導体会社とは思えない異質BSから見る
エヌビディア、TSMC、インテルの本質とは
「誰も自分たちのことを半導体メーカーの社員と思っていないのでは」。社員ですらこう自認する異色の半導体企業、米エヌビディア。2023年、同社はものすごい角度の右肩上がりで売り上げを伸ばし、約30年間半導体ランキングの首位を維持してきた米インテルを抜いた。
全社売上高で比較すると、台湾TSMCは首位を維持したが減収、これまで2位だったインテルはエヌビディアに抜かれ3位という結果になった(下図参照)。
そもそも、この3社は、同じ半導体企業といっても、その中身が全く異なる。工場を持たない「ファブレス」のエヌビディア、他社の半導体を受託生産するが自社ブランドは持たない「ファウンドリー」のTSMC、そして自社工場で自社ブランド半導体を生産する、旧来型の「統合型デバイスメーカー(IDM)」のインテルだ。
くしくも、それぞれ大きく異なるビジネスモデルを持つ3社がトップに君臨する今の半導体業界。その差異は貸借対照表(BS)に大きく現れる。この3社の違いを知ることは、今の半導体業界の特徴を知ることにも繋がる。最新通期決算を詳しく分析しながら、各社のビジネスモデルの違いを見ていこう。