そんな赤六法の食事に関する該当ページは、全体に比べたらそれほど多くはない。正直、その該当ページだけ配ってくれればいいのだが、そうはいかないらしい。

 赤六法にある矯正施設被収容者食料給与規程では、刑務所で給与する食事の主食は麦飯であること。さらにその麦飯は、米7に対して麦3であること。米は各施設で玄米を精米しているのだが、その搗精率も玄米1を0.93~0.94の範囲でと決められている。つまり、1キロの玄米を精米してでき上がる重量は930~940グラムの範囲でないといけない。

 この精米は、娑婆で販売されているものよりも精度が低いため、見た目はやや茶色く、7分搗き程度に相当する。学校給食で出される麦飯は真っ白い精白米に対して麦が10パーセントである。それに比べて、7分搗き米に3割の麦が入った麦飯は一般の人の想像よりも茶色っぽい。

 ただ、刑務所でも正月三が日だけは、米100パーセントの白飯が3食給与される。それも赤六法のルールに記載されている。白飯といっても、相変わらず7分搗き米だから、娑婆の銀シャリとは異なるのだが、彼らにとっては特別なのだ。

主食の量は受刑者の仕事量に比例
刑務所メシは意外とハイカロリー

 主食の量は、おかずの量が全員1日あたり1020キロカロリー以上と同じなのに対して、仕事量によって3段階になっている。

 立ち仕事をする人はA食で1日あたり1600キロカロリー相当、座り仕事はB食で1300キロカロリー相当、居室で過ごす人たちはC食で1200キロカロリー相当。1食あたりは、それぞれを3で割った量が主食量となる。

 A食の場合だと、1600キロカロリーの主食と1020キロカロリーのおかずだから、1日あたり2620キロカロリー以上ということになる。

 刑務所のメシは痩せると言われているため、食事も摂取カロリーが低く、質素だと思われているが、実はそれほどでもない。厚生労働省による「国民健康・栄養調査」のデータ、日本人の平均摂取エネルギーよりも多いのだ。

 さらに身長が180センチ以上の場合は、主食が加算されるという仕組みになっている。

 例えば、立ち仕事をしている身長180センチの人は「A180」、座り仕事の185センチの人なら「B185」と、飯椀の色も変えているし、フタにも表記して区別している。間違って配膳してしまったら、大変なことになってしまう。

 ちなみに麦飯のほかにも主食としてコッペパンやうどん、ラーメン、やきそば、スパゲティがあるが、それらも同じ仕組みで分量が決められている。

 さて、「麦飯の量が少ない疑惑」はその後、無事解決した。出張でその刑務所を訪問した際に麦飯を計量させてもらったのだ。当然ながら、当所と同じ量を盛っている。