女性活躍推進は、諦めずに続けていくことが肝要

 Mentor Forを通して社外メンターからメンタリングを受けた女性からは、「自身が直面する課題や考えを整理することができた」「新しい視座が得られた」といった声が寄せられている。

池原 最初は懐疑的な方も、半年のメンタリングを通して変わっていきます。実際、ある企業では、メンタリングを受けたメンティ27名のうち7名が基幹職に手を挙げたそうです。もちろん、すべての女性たちがメンタリングを受けて変わるわけではありません。この企業の場合、メンタリングに参加した女性は会社から期待されている存在だったので、自信が無かったところにメンターから背中を押されて、チャンスをつかみにいったのでしょう。メンターの大きな役割は「背中を押すこと」だとわかる事例です。

 女性活躍推進に向けて、いま、企業の人事部は、どのような姿勢を保てばよいのだろうか。

池原 私は人事担当者とやり取りすることが多いのですが、いつも、頭の下がる思いです。女性活躍推進というテーマを社内で通していくのはとても難しいことですから。男性社員が、「どうして、女性だけが優遇されるんだ?」という不満を持つこともあるでしょうし、管理職になることを望んでいない女性から女性活躍推進そのものを非難されることもあるでしょう。でも、決して、心折れずに続けていただきたいと思います。

 以前、女性活躍の政策に関わる方が、「女性活躍推進に取り組んでも、2〜3年でやめる企業が多い。5年以上でようやく効果が出るのに」とおっしゃいました。KPIを設定してもすぐに結果が出ないと、プロジェクトチームを解散してしまう会社も多いとのこと。また、女性活躍推進の予算は、人事部の教育研修費が割りあてられることが多いのですが、それが減っていくのもよくあること。しかし一方で、5年10年と取り組み続けて結果を出す企業もあります。諦めずに、逆風に負けずに、根気よく向き合っていくことが大切だと、私は思います。