内部メールを映したスマホPhoto:NurPhoto/gettyimages

米国上場のコンサルティング大手、アクセンチュアは3月23日、向こう1年半で1万9000人を削減すると発表した。全従業員の約2.5%に当たり、コンサル業界の人員削減では過去最大規模。余波は急成長を続け、膨張する日本法人にも及ぶのか――。今後の影響を探るべく、ダイヤモンド編集部はこのほど、米アクセンチュアの人員削減に関連する複数の内部メールを入手した。長期連載『コンサル大解剖』の本稿では、内部メールの内容や関係者への取材などを基に、日本法人の人員削減の可能性を展望した。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

世界では2万人もリストラ断行!
内部文書から日本への波及を分析

 日本法人が“丸ごと吹き飛ぶ”ほどの大規模リストラへ――。米国に上場するアクセンチュアが3月23日、今後1年半で1万9000人の人員削減に動く方針を明らかにした。

 これはグローバルで73万8000人(2月末時点)いる従業員の約2.5%に当たり、同社日本法人の約1.9万人(昨年12月時点)に相当する規模だ。コンサル業界では史上最大級のリストラとなる。

 米アクセンチュアが同日発表した2022年度第2四半期(22年12月~23年2月)の売上高は、前年同期比9%増(現地通貨ベース)。売上高は四半期として過去最高を記録した。まだまだ成長軌道にある中でも、なぜ痛みを伴う大ナタを振るうことを決めたのか――。

 そして、大規模なリストラは日本の関係者にも衝撃を与えた。何しろ、新卒生の就職活動真っ盛りの日本において、アクセンチュアは24年卒業の学生の就職注目企業ランキングで堂々のトップに立つ存在(オープンワーク調べ、3月16日時点)。過去数年にわたり、大量採用を続けてきた日本法人の動向は、転職の検討者のみならず、新卒学生を含め、影響がいかほどなのか多くの人が気を揉んでいることだろう。

 ダイヤモンド編集部は今回の米アクセンチュアの人員削減に関連し、複数のアクセンチュア幹部が社内でやりとりした内部メールを入手した。一通は米アクセンチュアのジュリー・スウィートCEO(最高経営責任者)、もう一通は日本法人を管掌するグロースマーケッツ(以下、GM)の担当CEOのレオナルド・フラミル氏から社員に対して送られたものだ。

 同社が3月23日にSEC(米証券取引委員会)へ提出した資料では、「今後1年半で1万9000人の人員削減を行う」といった最低限の概略しか記載されていない。しかし、スウィート氏のメールでは、今回の大規模リストラの背景などが丁寧に説明されている。また、フラミル氏からのメールには、日本市場の位置付けや今後の人員体制を占う上で重要な示唆が含まれていた。

 次ページでは、一連のメールの全容に加え、現場社員やコンサル人材関係者への取材を通じて、日本法人が直面する現状や日本法人がリストラを迫られる可能性について分析した。そこからは、ビジネス自体が好調でも一筋縄ではいかない、外資系企業特有の構造的な課題も浮かび上がってきた。