
足元で急成長を遂げているのが、国内系上場コンサルファームであるライズ・コンサルティング・グループだ。同社は、創業者の出自や「ワンプール制」といったビジネスモデルの類似性などから、“ベイカレントクローン”の一角としても認知されている。5月にライズ社長COOに就任した松岡竜大氏に、同社の強みと業績の中身について詳しく聞いた。長期連載『コンサル大解剖』では、インタビューの前編となる本稿で、松岡氏が「ビジネスモデルとしてベイカレントに対し競争優位性を作るのは難しい」と率直に打ち明ける一方、独自のサービスモデルで差別化を図ると強調した。(ダイヤモンド編集部 山本輝)
ライズの売上高は約25%の成長
元祖のベイカレントとの違いとは
――2025年2月期の決算は、高い売上高成長を記録した一方で、営業利益についてはいま一歩の進捗でした。業績についての受け止めは。
25年2月期の売上高は過去最高となる76.8億円で、前期比25%近く成長することができました。これは非常にポジティブに捉えています。われわれは「最高品質のデリバリーが最大の営業」と創業当初から言っていますが、現場で社員が頑張ってくれてクライアントの信頼を勝ち得た結果であり、誇りに思うところです。
一方、確かに営業利益は19.6億円で、前期比8.5%増、営業利益率は25.5%となりました。これは主に採用の変化による影響が大きかったです。
われわれは25年2月期、年間で約100人の採用を予定していましたが、採用活動の中でもう少しいけると思い、採用体制などを強化したんですね。しかし、今はエージェントフィーも高くなっていますし、採用に工数もかけているので、その分費用が上がったという面があります。とはいえ、結果としてコンサルタント人員は20%以上増で獲得できましたので、非常に前向きな投資だったと考えています。
加えて、当社は「プラクティス」という業界・領域特化の専門性を発揮する組織の強化を図っています。この創出に当たっては、コアとなるパートナー以上の上位層のメンバーが必要なので、こちらの採用も積極的に進めました。今期(26年2月期)からは4つのプラクティスが新規に立ち上がりましたが、これらの採用でもコストが発生しました。
われわれは、パートナーなどが現場に入ることで価値創造することに重きを置いています。ですので、(パートナーの)営業の機能がやはり他社より見劣りする面があります。ここを補完するために、25年2月期は営業専門組織の「ビジネスディベロップメント部」を新設し、ここでも投資が発生しました。売り上げについては非常にいい結果が出始めています。
投資家の期待には少し足りなかったかもしれませんが、総じてわれわれとしてはいい投資ができたと評価しています。
――30年2月期までの中期経営計画における最終年度の営業利益率の目標として25~30%を掲げています。一方、例えばベイカレントは、EBITDAマージンの目標として30~40%を掲げています。
次ページでは、松岡氏が5年後などの視点で人員体制のイメージを明かす。また、ベイカレクローンと呼ばれる一方、ベイカレントのビジネスモデルとは異なるライズのビジネスモデルの特徴を解説する。さらに、近年強化を進める営業体制の特徴や、コンサルビッグ4やアクセンチュアにも優位性を持つライズ流のパートナーの役割などについても語ってもらった。