鯉のぼり写真はイメージです Photo:PIXTA

「11PM」の井森美幸や「なるほど!ザ・ワールド」で楠田枝里子などのスタイリングを手掛け、「派手な服なら西ゆり子」と言われるほど一時代を築いたスタイリスト・西ゆり子。70代の今も現役として活躍する彼女が仕事や生活の心構えを綴る。本稿は、西ゆり子『Life Closet』(扶桑社)の一部を抜粋・編集したものです。

派手な衣装を見事に
着こなす女性タレントたち

「スタイリストになろう!」

 目標が決まった私は、少しでもファッション業界に近づこうと、まずはモデルクラブのマネージャーの仕事につきました。その後、知り合いのツテをたどって、なんとか女性誌の仕事を担当させていただくチャンスに恵まれて、24歳のときにスタイリストとして独立。30代でアイドルやアーティストのスタイリングを経験し、30代後半に差しかかった頃からテレビの仕事に携わるようになりました。

 最初に担当したのは、『11PM』の司会に抜擢された歌手の井森美幸さん。そのときに、「テレビに出る人は普通の服ではいけない」と思ったのです。本来ならば、私はコンサバでベーシックな服が好きなのですが、タレントさんや女優さんは特別なオーラを放っている存在です。

「さすが芸能人! あんな服、見たことがない」

 と、画面を観ている人たちがワクワクするような服を着ていただこうと決めました。そこで、井森さんをはじめ、私が担当させていただいた芸能人の方には、現実の生活ではありえないようなきらびやかな衣装を着ていただくことに。そのおかげで、「派手な服なら西ゆり子」と、あちこちの番組からお声がかかるようになったのです。

 なかでも、『なるほど!ザ・ワールド』の司会を担当されていた楠田枝里子さんの衣装は思い出深いものばかりです。アクセサリーや帽子も、毎回既成のものをアレンジして、「派手こそ命!」のように作り上げました。こどもの日の放映にちなんで、鯉のぼりの柄のドレスを手作りして着ていただいたのも懐かしい思い出です。

 当時、超がつくほど売れっ子だった山田邦子さんともご一緒させていただきました。頭のてっぺんからつま先まで、“オール派手”な衣装をいつも 完璧に着こなしてくださって、「さすが、プロ!」とほれぼれしました。

 いくら派手な服がいいとはいっても、ひとつだけ注意をしていたのは、衣装だけが目立ってはいけないということでした。その方のキャラクターや個性を際立たせる「派手」でなくてはいけないと。その感覚が、後にドラマのスタイリングをするようになってからも、大いに役立っているのだと思います。

70代の今も
現役でいられる理由

 おかげさまで、70代になった現在も、ドラマや映画のスタイリングに携わる機会をいただいています。

「若い女優さんの衣装を選ぶのは大変ではないですか?」

 と、聞かれることもありますが、決して大変ではありません。私自身も20代、30代を経験しています。