岸田首相以外の
首相候補者の評価は
駄目なのは、岸田首相だけではない。上川陽子外相の外相会合の映像を見ると、何かおどおどしている。外交現場からは、やたら形式的なことに細かいとか、文章を長くするのでメリハリがなくなるとの声があり、一方で、活躍したというエピソードは聞こえてこない。
一部メディアは持ち上げているが、とてもサミットで大活躍などできそうもない。この人は、法相時代にオウム真理教関係者をいちどに死刑執行して蛮勇を一部からたたえられている。
それは、安倍首相にとって重要な欧州歴訪直前だった。この訪欧は水害のために中止になったものの、もし訪欧していたら、記者会見でこれを追及されて、成果が台無しになるところだった。
しかも、死刑執行の前夜に首相も交えた会食の場で「大はしゃぎ」していたなど、政治家としての国際感覚はゼロだとしか考えられない。
ほかの首相候補といわれる人たちも、どうして外交面で首相が務まるというアピールをしたり、勉強したりしないのだろうか。
そんな中で、茂木敏充幹事長が昨年の大型連休に訪米し、ブリンケン国務長官をはじめ、与野党の要人と会談を重ねたのは称賛に値する。
河野太郎デジタル相の語学能力や外交能力は称賛すべきだが、父親が外相時代、太郎氏が勤務していた家業の日本端子が有利な条件で合弁事業を展開したことについて、「問題ない」で片付けず、きちんと説明した方がいい。これは河野氏が首相になろうとしたときのアキレス腱(けん)になりかねない。
一方、麻生太郎元首相のドナルド・トランプ前米大統領訪問は評価したい。トランプ氏との対話チャンネルは一つでも多く持つべきだ。
公明党の山口那津男代表は、たびたび訪中しているが、中国との関係が難しいとき、公明党と中国との信頼関係は日本外交の財産だと思う。公明党は日中国交正常化の時代から、親中ではあるが、反日・反米の色を持たないというのを原則にしているので、左派の親中派とは違う。エマニュエル駐日米国大使などとの交流もよく知られた通りである。
また、支援団体である創価学会の原田稔会長が5月10日に、ローマ教皇との会談を実現した。これはいわく付きで、かつてローマ教皇と池田大作会長(当時)との会談の打診があった時に、日蓮正宗の宗門が難色を示し、実現できなかった経緯がある(当時は学会と宗門は対立していなかった)。
それだけに今回の会談は、一つの区切りになるとともに、池田大作氏が高齢のため2010年から海外訪問をしなくなってから滞っていた、教団トップによる民間外交の本格的な再開ということでも注目される。